90ミニッツ

caltec2012-02-09



渋谷パルコ劇場にて『90ミニッツ』を観劇。座席がX列だったので「客席後方かなあ」と思っていたら、最前列でかなりびっくりした。


最前列だけに、二人の息遣いまでが伝わってき、西村・近藤の掛け合いを十二分に楽しむことができた。


さて、肝心の内容について。三谷幸喜脚本、西村雅彦と近藤芳正の二人芝居という組み合わせだったので、二人の掛け合いがメインのシチュエーションコメディか?と想像して観劇に臨んだのだが、その実は、医療現場の医者(西村)VS近藤(負傷者の父親)の、手術の同意書へのサインをめぐっての駆け引きという、どちらかというとシリアスな内容だった。


パルコ劇場のHPによる本作品の概要は以下のとおりだ。

笑の大学」から15年。


三谷幸喜50周年大感謝祭のラストを飾るのはあの二人の男が舞台上で火花を散らす90分一本勝負のドラマ2011年、三谷幸喜生誕50周年スペシャル「三谷幸喜大感謝祭」そのアニバーサリー・イヤーのラストを飾るのは、『笑の大学』から15年振りとなる西村雅彦×近藤芳正出演の二人芝居です。


笑の大学』は第二次大戦中の表現における「検閲」という国のシステムを背景に、その「検閲する側」の検閲官と「検閲される側」の喜劇作家との会話の中に、三谷幸喜が探求しつづける「笑い」をテーマに「笑い」が人生に与える豊かさと「笑い」を描く作家の苦悩を描き、傑作ドラマを生み出しました。


今回のテーマは「倫理」です。


それぞれがそれぞれの立場で「正しい」選択をしなければならない。しかし、それは一方から見れば、「やってはいけないこと」であったりします。例えば、職業であったり、あるいは宗教や、家の家訓、国のイデオロギーの違いでも起こりうること。しかし、時と場合によっては、その「倫理」を越えたところで、行動しなければならないこともあるかもしれません。


三谷幸喜が描く二人の男性がそれぞれの「倫理」、つまり「立場」からぶつかり、葛藤する男二人が言葉でぶつかる会話劇です。


東京公演即日完売につき、2012年2月追加公演決定!どうぞこの機会をお見逃しなく!!


劇中では、真っ当な医師である西村の主張が正しいのではあるが、菜食主義者で、輸血をしてはいけないという倫理観を持っている近藤の主張は、そうした西村の「至極正当な」倫理観に対して、「ああでもない、こうでもない」と反駁しながら、最後には、彼の意見を通してしまう。よく言えばディベート、悪く言えば、屁理屈の羅列、ではあるのだが、こうしたやり取りがタイトル(『90ミニッツ』)どおり、近藤の息子が助かる期間である90分間、ひたすらに繰り返される。


人によっては、主従がころころと入れ替わる二人の台詞を面白いと感じる人がいるだろうが、個人的には(舞台転換のないシチュエーション劇は三谷作品の特徴であることは重々承知の上でだが)台詞遊びが過ぎるかなあ、という印象を受けた。


もちろん、医療用語・法律用語を交えた長い台詞を覚え、かつ演じる二人の役者(西村・近藤)の演技には感銘を覚えたのは事実だが、三谷脚本を素直に楽しめない自分がいたこともまた事実。2011年には2本の三谷作品(『国民の映画』と『ベッジ・パードン』)を観たが、やはり役者には感心するものの、脚本そのものには、大きく心を動かされることがなかった。


三谷作品好きだった自分としては、意外だったのだが、今回もやはり心動かされることが少なかった。三谷作品、舞台で見るより、映像(テレビドラマや映画)で見たほうが楽しめるのは、役者の表情等をより伝えやすいメディアであるからなのだろうか?


<出演者>

  西村雅彦
  近藤芳正



音 楽 : ★★★☆☆
脚 本 : ★★☆☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★★★☆
舞台/衣装:★★★☆☆
満足度 : ★★★☆☆



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