CHESS in Concert
青山劇場にて「CHESS in Concert」を観劇。実を言うと、まったく観劇の予定がなかったのだが、たまたま青山劇場前を通りかかって、先日の「ボニー&クライド」での記憶がよみがえり・・・ 当日券の列に並んでの観劇。
観劇後の感想を一言で言うと、いろいろな工夫・趣向が凝らされていて面白かった、ということ。
本作品では、いろいろな駆け引きを見ることができる。
①CHESSというゲームの駆け引き
②東(ソ連)と西(アメリカ)の政治的イデオロギー的な駆け引き
③フローレンス(安蘭けい)をめぐってのアナトリー(石井一孝)とフレディ(中川晃教)との駆け引き
話が重層的に構築されているのと同時に、衣装も工夫が凝らされている。一幕では、フローレンス、アナトリー、フレディは「黒い」衣装を着ている。そして一幕の途中でフレディは黒いジャケットを脱ぎ、白いシャツになる。この瞬間は、彼が柵から、解き放たれた瞬間でもあるかのように。。。 2幕は一転して、フローレンス、アナトリー、フレディの衣装が白に変わる。それぞれの生き方を歩みだした3人の姿がそこにある。
つまり「黒」は体制・柵に囚われていることを意味し、「白」は柵から解き放たれ、自らの心に忠実に生きていることをあらわしているのだと思う。 ただ、フローレンスを愛するが故、アナトリーは旧体制に戻ることを決意し、2幕で「黒い」衣装を着て登場する妻スヴェトラーナとともに帰っていく。「舞台」ではなく「コンサート形式」を取ってはいるが、こうして衣装でストーリーを伝えようとする演出、なかなか心憎い。
浦井健治演じるアービターは狂言回し、チェスのアンパイアとして、チェスというゲーム、そしてこの舞台上で高い位置から俯瞰し、彼の部下とも言えるグレーの衣装を着たアンサンブル群とともに、作品の世界観を構築していく。ファスナーを効果的に用い、アシンメトリーなデザインの、このアンサンブルの衣装がスタイリッシュでカッコいい。「白」と「黒」のチェスの世界。そして白と黒の色が用いられた狂言回しのタビーターとダンサー、グレーの衣装を着たアンサンブル。よくよく練られたものだと思う。
作曲は、ABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァース。ABBAというと、カタログ・ミュージカルの傑作「マンマ・ミーア!」の親しみやすくわかりやすいメロディーを思い浮かべるが、この「CHESS」はもっと構築的というか、いろいろなことが練られて作られたオーケストレーション豊かな作品。先週までワイルドホーンの多彩だがキャッチーでメロディアスな楽曲を聴いていただけに、本作品の音楽は少し重く響く。
<出演者>
安蘭けい:フローレンス
石井一孝:アナトリー
浦井健治:アービター
中川晃教:フレディ
AKANE LIV:スヴェトラーナ
池谷京子
大野幸人
角川裕明
田村雄一
ひのあらた
横関咲栄
観劇後に、安蘭、石井、浦井、中川4名によるアフタートークあり。これがとても楽しかった。やはり明るく陽気で熱いカズさんと、少し天然な浦井君、独特のキャラクター(少しKY?)なアッキーと、意外と男前な安蘭けい。和気藹々とした雰囲気がそのトークの中からも窺い知れたが、彼らがこのCHESSという作品を、コンサート形式ではあるが、ミュージカル作品としてきちんと成り立たせようと、いろいろと試行錯誤している様子もわかり、次回は、ミュージカル作品としての本作品を見たいなあ、という思いを強くした。
音 楽 : ★★★☆☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★★★★☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装:★★★★☆
満足度 : ★★★★☆
- アーティスト: Various Artists
- 出版社/メーカー: Reprise / Wea
- 発売日: 2009/06/16
- メディア: CD
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この輸入版のCD. アダム・パスカルやイディナ・メンゼルが出ていて、RENTファン必見のものです。しかし、難しい曲が多い。。。 caltecには歌いこなす自信はありません。