木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし

caltec2010-02-04



恵比寿にある東京都写真美術館にて「木村伊兵衛アンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」展を見る。


昨年の東京都写真美術館の企画展「旅 第3部 異邦へ 日本の写真家たちが見つめた異国世界」で取り上げられていた木村伊兵衛。今回の展覧会は、その木村伊兵衛アンリ・カルティエ=ブレッソンの共通点と異なる点を感じてもらおうという、企画だ。


東京都写真美術館のホームページにある展覧会概要は以下のとおりだ。

木村伊兵衛(1901〜1974)とアンリ・カルティエ=ブレッソン(1908〜2004)は、日本とヨーロッパと活躍した場は異なりますが、ともに近代的写真表現を切り拓いた写真家として重要な存在です。この二人は、ともに「ライカ」というカメラを人間の眼の延長としてとらえ、揺れ動く現実の諸相を切り取り、それまでになかった新しい「写真」のあり方を証明したといえるでしょう。二人の作品には普遍的ともいえる共通性を見て取れますが、その一方で、日本とヨーロッパというそれぞれが生きた現実の違いも、微妙ではありながら決定的な差異として見て取れることも重要な事実です。


本展では、木村伊兵衛アンリ・カルティエ=ブレッソンという偉大な二人の写真家の個性を堪能するだけではなく、近代的写真表現が絶対的普遍的でありながら、同時にいかに個別的相対的なものであったということを見ようとするものです。木村伊兵衛作品は東京都写真美術館のコレクションを中心に、またアンリ・カルティエ=ブレッソン作品は当館のコレクションを中心に国内各美術館の所蔵作品も含め、全体で153点をご紹介いたします。


実は、木村伊兵衛アンリ・カルティエ=ブレッソン、この2人は本展覧会を観る前から、僕の中では同じカテゴリーの中に属している写真家だったのだが、その理由は2007年にメゾン・エルメス(銀座)でみた「木村伊兵衛とパリ」展で観た木村の撮ったパリの風景と、アンリ・カルティエ=ブレッソンのパリの風景が同じような作品に見えたからかも知れない。


だが、本展覧会をみて、木村とブレッソンの作風の大きな違いを感じることが出来た。両者とも画面の構成力に優れ、ハッとするアングルや、被写体の表情を捉えるのがとても優れている。しかし、両者には決定的な違いがあるのだ。木村の写真が被写体に対する愛に溢れ、そこに映し出されている人々の間にある種のドラマ(ストーリー)があるような、そんな写真を撮っているのに対し、ブレッソンの写真は、被写体から一歩距離を置き、ユニークな構成や、歴史的に決定的な瞬間を、冷静に観察者の目で見てシャッターを押している、そんな印象を受けた。


木村の一つ一つの作品の中で展開されるドラマ(ストーリー)と、ブレッソンのアジア(ジャワ、インド、中国)の写真の美しさを、ただただ堪能した展覧会だった。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆



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