シェルブールの雨傘

caltec2009-12-12



日生劇場にて「シェルブールの雨傘」を観劇。


観劇後の感想を一言で言うと、日生劇場のような大箱で2幕に分けてあるような作品ではなく、中規模の劇場で休憩なしの80〜90分くらいで上演するような作品ではなかったか?ということ。


というのも、話の本編とはあまり関係のないようなダンスシーンが満載で、それが「ストーリーだけだとすぐに終わってしまうからダンスシーン多用しました」という感じに見えてしまったからだ。 主要キャストも、ダンサーもそれぞれ与えられた役割をきっちりとこなそうと頑張っているのだが、全体のバランスが悪いが故に、その頑張りが空回りしてしまったように感じられた。


また、工夫を凝らされたセットが、逆にセット=作り事の世界ですよ、というメッセージを強くしてしまい、ダンスシーンと相俟って、リアリティのなさというか、全体的にチープな印象を与えてしまったようにも思えた。


音楽は有名な主題歌は良かったが、それ以外の曲がなかなかすんなりとは耳に入って来辛い曲であったように思えた。特に女性陣の曲は高音のものが多いので、ちょっと聴きづらかった。


エンディングのシーンはなかなか良かったと思う。ギイの経営するガソリンスタンドに立ち寄るジュヌヴィエーヴ。今はそれぞれ幸せに満ちた生活を送っている二人の想いが一瞬交錯するが、すぐに現在の自分達の立ち位置に戻り、またそれぞれの道に戻っていく。最終的に結婚という形では結ばれることがなかった2人の恋だが、哀しい結末ではなく、それぞれ幸せな生活を築き別々の道を歩んでいるという展で、救われた結末を迎える。大団円でもなく、哀しすぎる結末でもなく、その間の何ともいえない位置付けのエンディングというのが、妙に心地よかった。観る人によって感じ方はそれぞれだと思うが、こういう終わりもありだな、と感じた。


一つ一つの要素は悪くないのに、全体的なバランスが悪いのがとても気になった舞台だった。今回をワークショップと捉えて改良を加え、練り上げていくと「大作ではないが、素敵な良品」に仕上がるとは思うのだが。。。



音 楽 : ★★☆☆☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★☆☆☆☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装: ★★★☆☆
満足度 : ★★☆☆☆



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