全日本選手権

フィギュアスケート全日本選手権 高橋、SP首位
 

バンクーバー五輪代表の最終選考会を兼ねた第78回全日本選手権は25日、大阪・なみはやドームで開幕し、第1日は3種目が行われた。


男子シングル


男子のショートプログラム(SP)は、2年ぶりの優勝を狙う高橋大輔(関大大学院)が92・85点で首位に立った。過去2年連続2位の小塚崇彦トヨタ自動車)が80・54点で2位、グランプリ(GP)ファイナル2位で代表内定済みの前回王者・織田信成(関大)が79・60点で3位につけた。


◇完全復活へ、初の90点超


昨年、11月に右ひざを手術し、退院したのがクリスマスイブ。そして1年後のクリスマス、高橋は氷上で輝いた。


「慎重に慎重にやった」という前半、トリプルアクセル(3回転半)は着氷がわずかになめらかさに欠けた。だが、中盤以降は深いエッジワークのステップ、情感豊かな演技で会場を大歓声で包んだ。終盤のサーキュラーステップは最高難度のレベル4で、ジャッジ評価(GOE)も最高の3・00点。表現力などを示すプログラム構成点は5項目すべて8点台。国際スケート連盟公認記録にはならないが、自身初の90点超え(92・85点)だ。


本人は「ジャンプがパーフェクトでなく、ステップで音を外した」と反省点を挙げ、SP世界歴代2位の89・95点をマークした今月上旬のGPファイナルに比べ「アピール、パフォーマンスでは足りなかった」と残念がる。それでも「全体的な感じでは今季一番。質の高いスケーティングができた」といい、「SPはだいぶ自信が出てきた」と収穫も十分だ。


今季はフリーで崩れるケースが目立つが、2位以下に12点余りの大差をつける首位に立ち、2年ぶりの優勝へ大きく前進。フリーでは今季成功のない4回転トーループに挑む。「五輪前の最後の試合。ここで決めたい」。五輪に向けて不安を解消し、「完全復活」を証明したい。


◇ミス響き、小塚2位


小塚は演技が終わった瞬間、「ああ、もう」と言って悔しそうな顔を見せた。今大会前にプログラムを修正し、新たな見せ場ともくろんだ終盤のステップでバランスを崩し、両手をつくミス。「思い切ってやりすぎた」と反省した。最も力を入れて練習してきたトリプルアクセルも着氷で手をついた。だが、それでも一定の評価を得たことで手応えも。「たくさん練習してきたので、フリーも最後までしっかり滑りたい」と自身を鼓舞した。


◇「空回り」織田3位


五輪代表に内定している織田が、ジャンプのミスで出遅れた。冒頭、トリプルアクセル(3回転半)、3−3回転連続ジャンプを無難にまとめながら、続く3回転フリップで転倒。「ジャンプに入る瞬間、目の焦点が合わなかった」と振り返った。日本男子でただ一人、GPファイナルの表彰台に立ってバンクーバーへの切符を手に入れた織田は、「代表として恥じない演技を、という気持ちが空回りした」。「五輪では必要になる」と位置付ける4回転ジャンプを織り込む予定のフリーで、追い上げを狙う。


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▽男子SP

(1)高橋大輔(関大大学院)92・85点
(2)小塚(トヨタ自動車)80・54
(3)織田(関大)79・60
(4)町田(関大)75・35
(5)無良(中京大)74・85
(6)郡山(福岡大)69・39



アイスダンス


アイスダンスの規定は3連覇を狙うキャシー・リードクリス・リード組(木下工務店ク東京)が31・17点で首位。


ペア


ペアのSPは唯一出場の高橋成美(アクアリンクちば)マービン・トラン(カナダ)組が50・96点だった。


第2日の26日は男子のフリー、女子のSPなど4種目が行われ、男子は織田以外が優勝すれば優勝者は五輪代表に決まる。


◇浅田は平常心で「4連覇に集中」−−女子公式練習


女子は25日、公式練習を行った。浅田真央中京大)は今季まだ1回しか成功していないトリプルアクセル(3回転半)を5回跳び、すべて成功。「大阪に来て安定してきた」と自信ものぞかせた。5位に終わったロシア杯からの2カ月間に、SP、フリーともジャンプの入り方やスパイラルなどを修正。「五輪より大会4連覇(の達成)に集中したい」と平常心を強調した。


五輪代表内定済みの安藤美姫トヨタ自動車)は公式練習で4回転サルコウを5回試みてすべて失敗。「五輪ではたぶんやらない」と明らかにした。


女子のSPは26日午後1時50分から、30人が出場。滑走順は25日の抽選で決まり、浅田は9番目となった。安藤は28番目で最終グループでの滑走。鈴木は16番目、村主は5番目、中野は18番目に登場する。


【石井朗生】


毎日新聞 2009年12月26日 東京朝刊)



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