ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで 姫路市立美術館所蔵

caltec2009-10-16



渋谷にあるBunkamura・ザ・ミュージアムにて「ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォーマグリットまで 姫路市立美術館所蔵」を見る。


美術館のHPによる本展覧会の概要は以下の通りだ。

世紀後半から20世紀前半にかけてのベルギーは、本国の何十倍もある植民地からの富が産業革命を加速させ、飛躍的な発展を遂げました。その恩恵は芸術の分野にも及び、多くの優れた画家が輩出し、勢い付いたリベラルな若い実業家たちは新しい芸術を支えました。


しかしながら皮肉にもその芸術の中身は、発展する近代社会における人間の疎外を背景にしたものでした。ある芸術家は空想の世界に、あるいは黄昏の薄暗がりの中に逃げ場を求め、またあるものは過去の世界に心の平安を見出しました。この時代に最も強いメッセージを放っていたのは、象徴主義シュルレアリスム表現主義にまたがるこうした内向的な芸術家たちの作品群、つまり「ベルギー幻想美術」だったのです。


ここで特徴的なのは、女性の圧倒的な存在感です。多くは優雅な貴婦人として、あるいは世紀末の魔性の女として、ときには中性的な不思議な魅力を持つ少女として描かれる女性たちは、いわば画家自身の分身として、その目で、あるいは体で、何かを訴えかけ、観る者を彼方へと誘っていきます。一連の作品が醸し出す雰囲気が似ているのは、このような背景を共有しているからなのです。


かくも優れた作品群が日本にまとまって存在していることに敬意を表し、「ベルギー幻想美術館」という名のもとに開催される本展は、ベルギー近代美術の精華を堪能する絶好の機会となることでしょう。


本展は、油彩・水彩・素描・版画など約150点で構成されます。なかでも、100点に及ぶ版画のコレクションは大変ごたえがあります


ベルギーの工業都市シャルルロワ市と姉妹都市関係にある姫路市という特徴を活かし、ベルギー美術の蒐集にその特徴を見出した姫路市立美術館。その姫路市立美術館の収蔵品でこうした一つのテーマに沿った展覧会を開催できることはとても素晴らしいことだと思う。


フレデリッククノップフ、アンソール、デルヴォーマグリット、、、どこか退廃的で神秘的な独特の世界観をもつ世紀末のベルギーの画家の作品がバランス良く配置されていて、概要を知るにはいい展覧会だと感じた。


ただ、大きなキャンバスに描かれた絵画ではなく、版画作品が中心であった点が残念だが、市立美術館で、著名な画家の作品をある程度まとまった分量揃える、、という美術館の方針を考えると、この選択肢もあり、ではある。個人的にはアンソールの作品と、マグリットデルヴォーの油絵がもう少し見たかった。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★★☆



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