プラド美術館(グランドフロア、地階、南側:ゴヤ中心)(日曜日17時以降入場のためFree)


プラド美術館3日目。


今日は残りの一連のゴヤ作品(館の南に集中している)と、グランドフロアの展示鑑賞。まずはゴヤの一連の作品を見る。タペストリー工場で働いた時代のスペインの風俗を描いた作品(3階)から、宮廷画家としてしての王家の肖像(2階)、そして地階の黒のシリーズへとゴヤの画風の変遷を辿りながら鑑賞する。肖像画については、ベラスケスの作品と比べてしまい、どうも「しまりがないな」と思ったりするのだが、スペインの日常を描いた彼の作品や黒のシリーズを見ると、これが本来のゴヤの描きたかったものなのだ、と感じることができる。


グランドフロアの目玉は、ラファエロの作品(かなりのボリュームがある)とボッシュの「愉楽の園」。ボッシュの作品は、宮本輝の「愉楽の園」のカバーの絵となっていて「いつかは本物を見たいな」と思っていた作品だ。天国・地上・地獄と3つに分かれた作品には、細かくいろいろなキャラクターが描かれており、その一つ一つを丹念に見ようとすると、この作品だけでも20〜30分はかかってしまうだろう。実はcaltecが訪れた中では、このボッシュの作品の前が一番人が多かった(そして一番鑑賞する時間も長かったと思う)。


3日に分けてプラド美術館を見て感じたのは、その収蔵品の量の多さと、質の高さ。ルーブルやメトロポリタンは絵画だけではなく、装飾品や彫像、陶磁器、銀食器など収蔵品は多岐に渡っているが、このプラド美術館の場合、少しの彫刻・食器を除くと、そのほとんどが絵画作品である。ティツィアーノ・ヴェローゼ・ティントレットのヴェネチア派の作品の充実度と、スペイン絵画のコレクションのレベルで言ったら、おそらく世界一であると思う。作品が充実している時期は、スペイン・ハプスブルク王家の繁栄の時期とちょうど重なるのだと思うが、これだけの質の作品をこれだけ収蔵する王家の力と、選美眼には感服する。


個人的に一番好きな美術館はシカゴ美術館なのだが、その次に選ぶとすると?と聞かれると、プラド美術館だと答える。ただ、あまりに素晴らしい、重厚な作品が多すぎて、息抜きできるような、そんな作品が少ないのが唯一の欠点と言えるかもしれない。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★★★
満足度  :★★★★★



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@マドリッド