サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ
渋谷、パルコ劇場にて「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 」を観る。
まずは、舞台=真っ白なキャンバスにジョージ(ジョルジュ・スーラ:英語で読むと「ジョージ」:石丸幹二)が登場し、そこから、彼の有名な「グランジャット島の日曜の午後」の世界が広がり、彼の描く絵の世界と、アトリエとを主な舞台としながら、映像と舞台美術が一体となった独特の世界観の中で物語りは進んでいく。。。
そこで描かれるのは、芸術家(画家)の生き様と、彼を取り巻く人々(母親、恋人、画家仲間、等)の愛憎と、、、1幕最後は、彼の描く「グランジャット島の日曜の午後」の世界が舞台上で完結し、物語が終わったかに見える。
そして第二部の幕が開くと、そこは現代のシカゴが舞台で、ジョルジュ・スーラ(ジョージ)の曾孫のジョージ(石丸)が主人公として登場する。 ここではアーティストが単に芸術性を追い求めるだけではなく、売れるために、現代のコマーシャリズムだったり、人と人との繋がり(ツテやコネ)だったり、色々なものと上手く付き合って行かざるを得ない世界が描かれている。
最後は、自らの進むべき道に迷ったジョージが、ジョルジュの描いたグランジャット島を訪れ、そこでジョルジュの言葉から、自らの生きる方向性を見つめなおす、、といった凝ったストーリーになっているのだ。
観劇前に暗記するほどCDでリピートして聴いていたソンドハイムの音楽は、旋律がキレイで、点描にヒントを得た凝ったつくり(各人の旋律はシンプルで、それが組み合わさることで複雑な音楽になる)になっている。 ソンドハイムの作品の中でも繊細で緻密な音作りをしている作品だと思う。
出演者も芸達者揃い、特に歌の実力者が多いため、ソンドハイム音楽の美しさを堪能することが出来た。主演の石丸幹二のジョージの役作りは繊細なジョージ。台詞まわしは文句ないが、歌声にはもう少し力強さが欲しかったかなという気もした。であれば、もう少し芸術家の傲慢さやエゴのようなものが表現できたと思うので。
ジョージの恋人役(2幕ではジョージの娘のマリー役)の戸田惠子は、早口で難しい役を上手くこなしていたと思う。若さが、、、という気が些かしたが、これはこれでありか。
その他の出演者も個人的に好きな人(山路、畠中、春風、花山、蘭々)が多く、芸達者な彼らのパフォーマンスと、歌のハーモニー(特に、「♪Sunday♪」では)を十二分に堪能できる舞台だ。
特筆すべきは、舞台美術の面白さと素晴らしさ。(恐らくは、BWと同様)スーラの絵を舞台上に表現した、工夫を凝らした作りで観客をスーラの世界へと誘っている。この舞台を見るだけでも、観劇の価値はあると思う。
<キャスト>
ジョージ: 石丸幹二
ドット : 戸田恵子
老婦人 : 諏訪マリー
ジュール: 山路和弘
イヴォンヌ:春風ひとみ
フランツ: 畠中洋
ボート屋: 野仲イサオ
看護婦 : 花山佳子
セレステ1:鈴木蘭々
セレステ2:冨平安希子
兵隊1 : 岸祐二
兵隊2 : 石井一彰
ミスター: 岡田誠
ミセス : 南智子
ルイ : 中西勝之
フリーダ: 堂ノ脇恭子
音 楽 : ★★★★☆
脚 本 : ★★☆☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★★★☆
舞台/衣装: ★★★★★
満足度 : ★★★★☆