「薩摩焼〜パリと篤姫を魅了した伝統の美〜」展

caltec2009-02-21



江戸東京博物館にて「薩摩焼〜パリと篤姫を魅了した伝統の美〜」を見る。


柿右衛門様式、鍋島、有田焼などの言葉は知っていても、「薩摩焼?有名なの?」という方もいると思う。博物館のHPによる本展覧会の紹介は。。。

世界に「SATSUMA」の名で知られる薩摩焼は、1867年(慶応3)の第2回パリ万国博覧会に出展され、ヨーロッパで高い評価を得ました。それから140年目にあたる2007年、これを記念した展覧会「薩摩焼パリ伝統美展」が、世界最高峰の陶磁器専門美術館として知られるフランス国立陶磁器美術館(セーブル美術館)で開かれ、好評を博しました。
本展では、このフランス国立陶磁器美術館で出品された作品を中心に、400年の歴史を誇る薩摩焼の優品約200点を紹介します。      

              
薩摩といえば篤姫を思い出される方も多い事と思いますが、薩摩焼は、篤姫の義父島津斉彬の集成館事業でも力を入れたものの一つであり、篤姫もまた、磯の別邸の藩窯で焼かれた香炉や置物などの薩摩焼を所有していました。
日仏修好条約によって日本とフランスの交流がはじまってから150周年(2008年現在)。篤姫も愛した400年の伝統の美をぜひお楽しみください。


簡単に言うと、2007年にフランス国立陶磁器美術館で開催された展覧会の、日本凱旋帰国展である。そして、昨年のNHK大河ドラマ篤姫』の影響もあり、東京展のみ特別出展として「篤姫所用の薩摩焼」が8点出展されている。 


さて、その展示内容だが、冒頭の第1章「豪華絢爛な薩摩焼<世界に飛躍>」で完全にノックアウトされた。同HPによる第1章の説明は。。。

パリ万国博覧会やウィーン万国博覧会などで薩摩焼が紹介され、その名前は世界に広がりました。日本的・東洋的な絵付け、金彩を多用した華麗な作品は欧米人に好まれ、大きなものは大邸宅を飾る大花瓶や置物、小さなものは手のひらに乗る人形や身につけるベルト、ブレスレット、ボタンなど、多くの薩摩焼が輸出されました。


このような人気の背景で、薩摩で作られた本薩摩のほかに、「 SATSUMA 」という新しいタイプの作品が京都や横浜など、日本各地で作られました。


つまりは、万国博覧会用に、東洋趣味で意匠の凝った陶器を作成した、その多くが展示されているのだが、乳白色の地の上に、赤や金で細かく装飾されている文様は素晴らしいの一言! 稚児や龍など、デザインのモチーフは中国や日本のものが多いが、色合いやパターン模様はどことなくタイで見られるような模様に似ている。このミックス感がcaltecのツボにドンピシャりとはまる。


スッキリとシンプルながらデザイン性の高い鍋島や、欧州人が好みそうな、大胆で絢爛豪華な有田焼とは、また違った、繊細でかつ絢爛豪華なやきもの、それが第1章のセクションで紹介されていた薩摩焼だ。


展示は、この後、「第2章 茶道の薩摩焼<重厚な味の茶道具>」⇒「第3章 「白薩摩」と「黒薩摩」<殿様と庶民のやきもの>」⇒「東京展 特別の篤姫の所用品」⇒「第4章 磁器の薩摩焼<青白磁をみるような磁器>」⇒「薩摩焼がヨーロッパの焼物に与えた影響」⇒「(特別展示)現代の薩摩焼」と続いていくが、正直言って、この第1章「豪華絢爛な薩摩焼<世界に飛躍>」の展示内容に勝るものはなし。冒頭で期待感が高まっていただけに、尻すぼみな感は否めないが、最初のセクションの薩摩焼を見るだけでも、訪れる価値がある展覧会だと思った。


縁取りや枠組みなどのパターンがタイやラオスなどの、東南アジアで見られるものと似ているな、と書いたが、「すんころく」焼なる素朴な文様の陶器も展示されており、それがタイの「スワンカローク焼」の魚の文様にソックリだった。解説にはタイの「スワンカローク焼」に似た文様を表したものが「すんころく」を真似たものである、と記載されていた。 やはりタイとの交流があったのか、と納得。


過去の薩摩焼を知ってもらうだけではなく、現代の薩摩焼も知ってもらおう、ということで、最後に特別展示で現代の陶芸作家のアーティスティックな作品が多く並んでいたが、今までのトーンと違う作品群で、ひとつの「展覧会」として見たとき、なくても良かったかなあ、という気がした。 まあ、町興しというか、地域産業・地域文化の紹介という意味では必要な要素だとは思いますが。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★★☆



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