丸紅コレクション展〜衣装から絵画へ美の競演〜

caltec2008-12-19



新宿にある損保ジャパン東郷青児美術館 にて「丸紅コレクション展〜衣装から絵画へ美の競演〜」展を見る。知り合いから譲り受けたチケットでの鑑賞であり、正直言うとあまり期待していなかったのだが、本展覧会の感想はと言うと、、、ハナマル。かなり満足度の高い展覧会だったといえる。


展覧会の概要は下記のとおり。

丸紅コレクションには、大きく分けて二つの分野があり、一つは、時代衣裳など染織分野の所蔵品。同社の前身である丸紅商店の京都支店が、呉服の意匠研究の参考資料とするために収集したもの。淀君の小袖裂をはじめとする近世の小袖や能装束、近代の卓抜な意匠の着物、著名画家や工芸家による図案など、染織史を辿る上で欠かせない貴重な作品群となっている。


もう一つが、日本および西洋の優れた絵画。日本で唯一のイタリアルネッサンス期の名作・ボッティチェリの絵画「美しきシモネッタ」をはじめとする西洋画は、総合商社が展開する多彩な事業の一つとして開設した丸紅アート・ギャラリーが、かつて収集したもの。その他、印象派の作品など重要な近代西洋絵画が所蔵されている。また日本の絵画は、洋画を中心に著名作家の作品を数多く所蔵し、特に関西発祥の同社ならではの、大阪・京都ゆかりの作家の貴重な作品が見出されるのも特徴だ。


本展覧会では、コレクションの精華約200点を選んで一堂に紹介し、通常は非公開のこれらの貴重な作品を鑑賞する、またとない機会となるだろう。


まずは衣装部分だが、丸紅前身の丸紅商店の商売道具でもある呉服の衣装研究の材料とするために収集しただけあって、どの作品も素晴らしいの一言。今年秋に見た「初公開 松坂屋京都染織参考館の名品 小袖 江戸のオートクチュール」展も素晴らしいものだったが、丸紅コレクションの収集作品(というよりは、本展覧会への出展作品といったほうが正確だろうか)の方が豪華で希少価値が高い作品が多いという印象を受けた。豪華ではあるが、決して派手になりすぎず、上品なセンスを保ちながら、なおかつゴージャス感を漂わせている呉服の数々が並んでいて、まずは冒頭のセクションからノックアウトされた感がある。


後半は日本画家(主に明治以降の西洋画が中心)の作品と、ヨーロッパの有名画家の作品が順番に並んでいるのだが、こちらも呉服と同様、「どうだ!」という強い主張があるわけではないが、その作品の中でのバランスが取れていて、ある世界観が確立している、完成度の高い作品ばかりで、セレクションした人のセンスが伺われる作品が多く並んでいた。このセレクションの統一感を感じた展覧会としては、フィラデルフィア美術館展以来のことである。


しかし、企業というのは、やはりお金を持っているものなのですね。そして、こういう絵画ビジネスに携わっている人というのは、ある種幸せな人なんだろうなあ、と美術好きのCaltecは思うわけであります。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★★★



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