インドネシア更紗のすべて −伝統と融合の芸術 展

caltec2008-12-18



ホテルオークラ横にある大倉集古館にて「インドネシア更紗のすべて −伝統と融合の芸術」展を見る。今年の秋から冬にかけて国立博物館五島美術館、大倉集古館の3館で展開された「更紗」展のひとつで、本展覧会はインドネシアの更紗、通称「Batik(バティック)」に焦点を当てた展示構成となっている。


同美術館のHPによる展覧会の概要は下記のとおり。

「Batik(バティック)」は、蝋による防染を繰り返して複雑な文様を染め上げていく臈纈染め(ろうけつぞめ)のことで、日本では「インドネシア更紗(さらさ)」と呼ばれて親しまれてきました。本展は、バティックの歴史とその魅力を広く紹介するもので、研究者・教育者としてインドネシアに関わってこられた戸津正勝氏の、30年に及ぶ膨大なコレクションから約350点を展示します。国交50周年に向けて王宮及び現代作家、研究者をはじめとするインドネシア共和国諸機関の協力を得つつ、地域ごとに個性的なバティックを国内全域に網羅して、古い伝世品から現代の新進作家の作品まで、空前の規模でバティックを語る、まさにバティック決定版といえるでしょう。


「更紗」について、3館で開催された展覧会を見た結果いえることは、本展覧会が一番内容が充実していたということである。ほかの2つの展覧会がインドやバティックといった、海外の文化を扱いながらも、それが日本にどのように取り入れられ、融合していったのかという視点から構成されていたのに対し、本展覧会の構成は、「Batik(バティック)」とは何か?について、様々な切り口(皇族の文様、一般市民の文様、そして現代作家の作品まで)から捉え、総合理解ができる構成になっていたからだと思う。


更紗の質としては、正直言うと他の展覧会の方が良かったりするのだが、展覧会の内容としては、やはり本展覧会の方が個人的には鑑賞して得るものが多かった印象を受けた。作品の質も大事だが、どういう切り口からその作品群を捉え、展示していくのかというのも大事だよなあ、ということを感じた一連の「更紗」展だったと思う。そしてCaltecはシンプルな色合いの幾何学模様(複雑ではあるが、パターン化された紋様)が大好きなのだということも改めて感じさせられた展覧会だった。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆



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