ミス・サイゴン

caltec2008-10-19



さて、今回は帝国劇場「ミスサイゴン」、18日(土)のソワレ(夜公演)の感想を。


気になるプリンシパル


 【エンジニア】 橋本さとし
   はやり長身、芝居が上手い、声もいい、と、くれば舞台栄えがしますね。
   マチネが小柄な筧エンジニアだったせいか、華がすごくあると感じました。
   やり手で、胡散臭いエンジニア像を作り出して、自分の中で捉えているエンジニア像に
   一番近い人かなと思います。
   カーテンコールでの舞台挨拶などを観ると「熱い」男なのが伝わってきました。
   あ、そうだ。「NYに行きたい」と「風呂に入りたい(入浴したい)」をかけてたよね?


 【キム】 知念理奈
   マチネのソニンキムと比べてかなり音程が安定している知念キム。
   音程が安定しているとハモル部分がとてもきれいに聴こえるのがいいよなあ、と思います。
   4年前と比べ、母親になった後の、タムを見守る優しい表情とか、細かな芝居とか
   女性としての「たおやかさ」が出てきたような気がします。
   ミュージカル女優として成長中なんだろうな、と思います。   
   役を作りこむというよりは、自分の感情を乗せていくタイプだとは思うのですが、
   もう少し演技や歌にバリエーションが増えると言うことはないですが。
   

 【クリス】 原田優一
   「その場の感情に正直な男」。これが原田クリスかな、と思います。
   ベトナムで、アメリカで、そのときの気持にウソはないけど、でも、昔のことは引きずらずに、
   きれいさっぱり忘れて、その瞬間瞬間の気持に正直であろうとする。。
   敢えて言えば、自分のフィルターを通じてしか周りを見られない人。
   彼の演技からは、そういったクリス像が浮かび上がってきました。
   まあ、クリスってそういう人間だと思うし、正解な、人物像形成なんだろうなあ。
   他のクリスと比べると歌・演技の「線の細さ」が気になりましたが、
   ナイーブで優柔不断で自分目線なクリス像形成には役立っていたと思います。


 【ジョン】 岡幸二郎
   美声で朗々と歌い上げていたアンジョ時代が懐かしかったりもしますが、
   岡さん、いい意味で「大人」になられて、安定感が増した気がします。
   今回のジョンという役では、かなり丁寧に音を拾い、抑え目に演じている印象を受けました。
   実直なサカケンジョンと比べると、思慮のある大人なジョンが岡ジョンの特徴でしょうか。
   クリスの「蓮の花〜」という台詞を受けての、「蓮っ!」という返しには笑いました。
   ブイドイ、素晴らしかったです。
  

 【エレン】 シルビア・グラブ
   見た目がアメリカ人、もうそれだけでエレンOKな気がしますが、
   抑えた演技で、とても良かったです。
   昔は声質のせいもあって、「強い女」像が多かったのですが、
   いつの頃からか、いろんな女性像を演じられる人になっていて、
   観る度に「凄いなあ」といつも感心してしまいます。 
   音程の安定感、地声から自然にファルセットに変わるところ、演技力、
   どれをとっても穴がないなあ。。
   2幕の後半、エレン・クリス・ジョンの三重唱は、とてもキレイにハモっていて、ビックリしました。   


 【トゥイ】 神田恭兵
   自分的にベストだと思っている泉見トゥイの後でみたので、、ですが、頑張っていたと思います。
   怖いだけのトゥイ、キムヘの一途な愛情が感じられるトゥイ、実直なトゥイなど、
   今まで色々なトゥイを観てきましたが、「熱いものを持っている」トゥイが多い中で、
   神田トゥイは比較的「優しい」部類に入るのかな、という印象を受けました。


 【ジジ】 池谷祐子
   声がキレイです、池谷ジジ。歌も良かったし。
   

 【アンサンブル】
   マチネ組と比べて、男性の背が全体的に低いな、と感じたのは、
   比較対象(筧エンジニアと橋本エンジニア)の違いによるものなのでしょうか?
   男性はマチネ組よりも、力強さがないが、ソフトで美声な人が多い印象、
   女性はマチネ組よりも、高音がきれいで、艶っぽい印象を受けました。



音 楽 : ★★★★☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★☆☆☆
舞台/衣装: ★★★☆☆
満足度 : ★★☆☆☆