英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展

caltec2008-07-12



六本木ヒルズにある森美術館にて「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」を見る。


同美術館のHPによる本展覧会の概要は以下の通りだ。

「今年のターナー賞は誰が獲る?」毎年秋、英国の人びとの話題にのぼるのが、ターナー賞のゆくえです。現代美術界で最も重要な賞の1つといわれる同賞の授賞式はテレビ中継され、翌日の新聞で受賞者が大々的に報道されるなど、英国の国民的行事となっています。本展はそのターナー賞の歴代受賞者すべての作品を一堂に集める史上初の試みとなり、英国現代美術の流れをたどりながら、世界の最先端にあるアートの息吹を感じることができる展覧会です。ロンドンのテート・ブリテン1984年から開催されている「ターナー賞」は新しい美術の振興を目的とするテート・ギャラリーのパトロン団体、「新しい美術のパトロン」によって1984年に創設。名前は日本でも有名な英国人アーティストのひとりジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)に由来しています。絵画、彫刻、写真など既存のメディアに縛られないユニークな賞として年1回、数名のアーティストをノミネート(50歳未満の英国人及び英国在住者が選考対象)し、その作品を展示。最終選考で1人の受賞者を選出しています。


本展で紹介する1980年代の「ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア」から、90年代の「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(YBA)、そして2000年代の最新の動向は、過去20余年の英国現代美術の変遷を示すものです。


ターナー賞」を回顧することで、あなたはきっと、この最も権威ある賞が、最も斬新なアートに与えられてきたことにあらためて驚かれることでしょう。今や国際的な活躍を遂げる各アーティストの受賞当時の作品を中心に展覧会は構成されますが、ウィットに富み、ユーモアに溢れ、知的で、ポップで、衝撃的なそれらの作品群は、今見ても非常にクールで刺激的。現代美術の中心地から、世界へ投げかけられた大きな刺激を再発見することができます。


正直に言うと、実際に美術館を訪れるまでは、「たいしたことはないだろう」という思いが強かったが、実際展覧会場を訪れてみて、その展示作品を見て、その認識が間違っていたことに気付いた。


見ていて、とても面白いのだ。映像・彫像・絵画・写真がバランスよく選択されたおり、見た目に飽きない、というだけではなく、一つ一つの作品自体パワーがあり、そのパワーが観覧者を飽きさせないのだと思う。


展示作品を見ていて、「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」展「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展で見た作品が展示されていて、驚いた。受賞者の名前を見ても、クリス・オフィリやヴォルフガング・ティルマンスなど、私達の身近で知られている名前のアーティストも見受けられ、HPで語られているように「世界の最先端にあるアートの息吹を感じることができる展覧会」であると思う。


ちなみに、本ターナー賞の受賞者は以下の通り、ということだ。

受賞者一覧
1984 マルコム・モーリー
1985 ハワード・ホジキン
1986 ギルバート&ジョージ
1987 リチャード・ディーコン
1988 トニー・クラッグ
1989 リチャード・ロング
1990 実施されず
1991 アニッシュ・カプーア
1992 グレンヴィル・デイヴィー
1993 レイチェル・ホワイトリード
1994 アントニー・ゴームリー
1995 デミアン・ハースト
1996 ダグラス・ゴードン
1997 ジリアン・ウェアリング
1998 クリス・オフィリ
1999 スティーヴ・マックィーン
2000 ヴォルフガング・ティルマンス
2001 マーティン・クリード
2002 キース・タイソン
2003 グレイソン・ペリー
2004 ジェレミー・デラー
2005 サイモン・スターリング
2006 トマ・アブツ
2007 マーク・ウォリンジャー


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆


(一次夕立