Space for your future アートとデザインの遺伝子を組み替える

caltec2008-01-20



東京都現代美術館にて「Space for your future アートとデザインの遺伝子を組み替える」展を見る。六本木クロッシングが個人的にはあまり満足感を得るものではなかったため、大丈夫かなあ、でも東京都現代美術館の企画なら大丈夫に違いない、などといろいろ考えながら最終日まで行くのをためらっていた展覧会。結論から言うと、もっと早く行っておけば良かったと思わせる、面白い展覧会だった。


チラシやHPの記述によると、本展覧会のコンセプトは以下の通り。

今、世界の建築、デザイン、ファッション、アートの領域で大きな変革が起こっています。生物が新化の過程で変貌を遂げるように、表現の世界でも新しい形の領域横断が行われ始めているのです。薔薇で覆われたビルディング、身体だけでなく心までを包み込む椅子、花柄模様を織り込んだ金属フェンス、座ると色が変化する椅子、空中に浮かぶ巨大な建築構造物 ー これらはすべて、本展出品作家が考える答えです。「SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える」では、現在最も注目を集める13ヵ国、34のクリエイターたちが私たちをとりまく風景や価値観を再構築し、新たな未来への選択肢を提案します。


展覧会が取り扱うジャンルとしては、「六本木クロッシング」展よりは、昨年夏にみた「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション」展に近い。ただ、スキン+ボーンズ展では、キュレーターによって解釈された、建築やファッションのインスピレーションの元になる意識や認識を発表する場であったのに比し、本展は注目を浴びるアーティストの作品を集め、それを見たり感じたり、体感したりすることで展覧会の参加者が各自、それぞれの考えを持って欲しい、という想いが込められている、より観賞者参加型の展覧会であるという印象を受けた。


展示会場は、「BODYインナー・スペース」、「メタファーとしてのスペース」、「身体感覚を変容させるスペース」、「記憶・情報プログラムとスペース」などのテーマによって構成され、蜷川実花SANAA、マイケル・リンなど、良く知られているアーティストの作品が展示されている。


個人的に面白かったのは、バーバラ・フィッセルの「変容の家Ⅱ」。人や動物が移動することによって家のスペースが自由に拡張していくアニメーションで、建築をフレーム(柱)と面(壁)で捉えるのではなく、人の導線(点と線)で捉えて映像で表現している点が面白かった。あとは、こういう展覧会では毎回登場するフセイン・チャラヤンの作品。LEDチップをドレスに貼り付け、ドレスそのものが発光するというLEDドレスや、内蔵されたレーザーが服からビームを発するレーザードレスなど。服に哲学(思想)があり、かつ最新のテクノロジーも取り入れ、かつ着る衣服としてもクオリティの高い作品を創造し続けるフセイン・チャラヤンはすごいです。


作品自体の感想ではないが、昨年話題になった沢尻エリカが100通りのキャラクターを演じたタナカノリユキの「100 ERIKAS」。この作品を見ながら、入館者の多くを占めていた、10代後半〜20代前半の学生がエリカ様擁護発言をしていたのが印象に残った。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★★☆