美しき女性印象派画家 ベルト・モリゾ展

caltec2007-11-06



ベルト・モリゾ展@損保ジャパン東郷青児美術館に行く。


エドゥアール・マネ実弟ウジェーヌ・マネと結婚した女流画家であり、マネの描いた肖像画によって、印象派ファンの間では、知っている人も多いベルト・モリゾ。本展覧会は、そんなモリゾの「画家」という点にスポットを当て、彼女の生涯を辿りながら、約60点の作品を鑑賞できる構成となっている。


本展覧会での特徴は、作品だけではなく、ベルト・モリゾが置かれていた、当時の女流画家の立場を冒頭のセクションで解説している点にある。当時(印象派の画家が活躍した時代)の社会での女性のあり方、その社会規範・女性観の中で絵画を学ぶには限界があること、そして 印象派(展覧会)のグループに果たした彼女の役割など、冒頭のセクションでモリゾの置かれた社会的状況を認識し、作品鑑賞のセクションに移っていくことで、ただ彼女の作品を鑑賞するだけではなく、当時の文脈の中で彼女の作品を紐解いていくという作業が可能になる、というとてもいい展示構成になっていた。


さて、そんな前提知識を得て臨んだ彼女の作品だが、、、一言で言うと、淡い色調のマネ風作品、とでも言ったらいいだろうか。。。


彼女の特徴の1つに色調がある。淡くそして少し濁った色彩を基調に筆致を残しながら描かれた女性・子供を中心とした日常風景、が彼女の絵画の特徴だ。はっきりとした原色を使うのを好まなかったからか、色を混ぜることによって絵の透明度が下がってしまっているのが(同時代のルノアールやモネなどの明るい絵画と比べると)残念だな、という印象を持ったが、この色彩もモリゾ作品の大きな特徴だと思えば、これはこれで味わいがあるものなのだろう。


そして彼女の作品の特徴の2つ目は、夫の兄マネの影響は多分に受けている点。おそらく彼女自身は意図していなかったと思うが、彼女が描く女性の顔の輪郭や、ポーズ、ドレスのフォルム、画面構成など、マネ作品を彷彿とさせる表現が多かったように思う。これは一番身近に接することが多かった画家がマネであったから、ということが一番の理由だと思う。


目立った大作はないが、ベルト・モリゾという女流画家について理解するには、なかなかの高い企画の展覧会だったと思う。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★★☆☆☆