ジキル&ハイド


ミュージカル『ジキル&ハイド』(日生劇場)を観てきました。


東宝ホリプロ・フジテレビ共同主催、鹿賀丈史がジキルとハイドをどう演じきるのか、など、今年の後半のミュージカルの中では一番の話題作だったと思います。


シンプルで美しく、印象に残る素敵なナンバーが多く、かつ舞台装置も、衣裳も良く、近年のアメリカ発信のミュージカルの中ではピカイチだったと言えると思います。(その他「Civil War」というMusicalもいい音楽多いんだよな、と思ったら、Civil Warの作曲家も、Jikeyll&Hydeも、何とフランク・ロイドボーンだったという。。)

ただ、お話の方は、、、というと、ありきたりな話で、僕としては感動はできなかったかな、というのが本音のところ。


レミゼラブル、キャバレー、シラノ・ザ・ミュージカルなど、文芸作品をもとにしたミュージカルは多いですが、なかなかオリジナルの作品を超えるものをミュージカルで表わすのは難しいのかもしれません。


主な出演者は
  ジキル、ハイド(2役):鹿賀丈史
  ルーシー       :マルシア
  エマ         :茂森あゆみ
  アターソン      :段田安則
  ダンヴァース卿    :浜畑賢吉


今回の出演者の中では、ルーシー役のマルシアが出色。主役の鹿賀丈史を除くと、カーテンコールのとき、一番大きな拍手を彼女がもらっていたことが、僕だけでなく、観客の多くが彼女の演技に心からの拍手を送ったことを物語っていると思います。


まあ、彼女がやった役が、レミゼで言うところのエポニーヌ、ファンテーヌ的な役で、娼婦の妖しい面とジキルに恋する純情な面と、両方を要求される難しい役で、かつとても素敵なナンバーを唄う役で・・・ミュージカル女優なら一度は演じてみたいと思う役だと思います。


ジキルの婚約者役の茂森あゆみレミゼでのコゼット的な役で、ちょっと割を食らったかんじ。。。


そういうことを差し引いてもマルシアの熱演、光ってました。台詞はサスガに怪しい日本人チックでしたけど、全身全霊をかけてミュージカルの登場人物を生きている感じで、とても良かったです。歌も茂森あゆみより上手かったくらい。


舞台出身の段田安則も、歌の技量はないものの、声量があり、素直な歌声で、特に問題あり、とは感じませんでした。彼の演じるアターソンは歌より芝居心が要求される役なので、彼の起用は正解だったと思います。


さて、主役の鹿賀さんですが。。。
うーん。。


確かにカッコイイことは認めますが、巷で言われている程、歌が上手いのか?と問われると、
果たしてそうなのだろうか。。。と言わざるを得ません。


声量がないのと、活舌が悪いのと、音域が狭い(というか発声方法がそもそも問題ありのような)ので、純粋に歌の技量だけでは勝負できないような気がします。


彼の年齢・知名度・人気を考えると彼以上の適任者を探すのが難しいのですが、それで済ませていいの?と思ってしまうのもまた事実。

スターシステムが出来あがっており、商業主義に染まっている日本のミュージカル界は所詮この程度なのでしょうか?


まあ、(僕としては)いろいろと言いたいこともある本作品ですが、音楽に関してはとても良いミュージカルであり、マルシアの熱演、鹿賀丈史の人気も相俟ってこのミュージカルの再演が決定したそうです。


ただ僕は次回もまた観るかどうかは、わからないけど。