グランプリシリーズ:NHK杯
注目の女子シングルは、鈴木選手が逃げ切り、NHK杯初優勝を飾りました。2位には浅田選手が入り、昨シーズンに実力を十分に発揮できなかった両選手、今期は好調なようです。
浅田選手に関しては、バンクーバーオリンピック後に、ソチオリンピックでのメダル獲得を目標に、更なるスケールアップのため、スケーティング・ジャンプの向上を求めて佐藤コーチの門を叩いた「変革」の成果が、徐々に現れてきたというところだと思います。
フィギュア:鈴木V GPファイナル確実に NHK杯女子
【NHK杯フィギュアスケート】
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯は第2日の12日、札幌市の真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われ、女子フリーは、ショートプログラム(SP)1位の鈴木明子(邦和スポーツランド)が119.43点を出し、合計185.98点で初優勝した。GP2戦は2、1位となり、GPファイナル(カナダ)出場を確実にした。SP3位の浅田真央(中京大)は、フリーでトップの125.77点をマークしたものの、合計184.19点でわずかに鈴木に届かず2位。SP10位の石川翔子(明大)は最下位の10位に終わった。
男子はSPを行い、前世界王者の高橋大輔(関大大学院)が90.43点の自己ベストで首位発進した。今年の世界選手権銀メダルの小塚崇彦(トヨタ自動車)は79.77点で2位、町田樹(関大)は72.26点で5位だった。
ペアはフリーを行い、SP5位の川口悠子、アレクサンドル・スミルノフ組(ロシア)が逆転で初優勝し、GP2連勝でファイナル(カナダ)出場が確定した。SP2位の高橋成美(木下ク)マービン・トラン(カナダ)組は順位を維持して2位だった。
アイスダンスはフリーを行い、ショートダンス(SD)3位で日系米国人を両親に持つ兄妹、マイア・シブタニ、アレックス・シブタニ組(米国)が初優勝。日本のキャシー・リード、クリス・リード組(木下ク)は、クリスが直前練習で右足を負傷するアクシデントもあって7位に終わった。
◇高橋大輔が首位発進…男子SP
4回転ジャンプを入れない構成では、世界最高の出来だろう。高橋は2位に10点以上の大差をつけ、好発進に成功。いずれも4回転ジャンプを跳んだパトリック・チャン(カナダ)、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)に続く、世界歴代3位の得点をたたき出した。
滑り出しから、全く危なげがなかった。冒頭の2連続3回転ジャンプと3回転半は、出来栄え評価で大きく加点して計21・64点。この日、世界で2例目となる4回転ルッツを決めたブランドン・ムロズ(米国)は、4回転と3回転半を足しても20・96点だったことからも、高橋への高評価が分かる。加えて、持ち味である表現面は、プログラム構成点でただ一人40点を超え、首位に躍り出た。
「全体的に丁寧な滑りができた」と振り返る高橋。練習では4回転ジャンプの調子も上がってきている。「(2位との)点差を緊張ではなく、余裕につなげたい」。頼もしく語った。
【芳賀竜也】
毎日新聞 2011年11月12日 21時27分(最終更新 11月12日 23時02分)
フィギュア:浅田 「大人の選択」で結果…NHK杯2位
代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を回避するという「大人」の選択をした浅田が、トップに僅差の2位に入った。「初戦はいつも悪いけど、これくらいできたら自信につながる」。不振だった昨季の初戦・NHK杯(名古屋)の8位から大きく順位を上げ、演技後は自らを納得させるように何回もうなずいた。
冒頭のトリプルアクセルは昨季、一度も見送らなかったが、この日はダブルアクセルに変更。難なくこなして流れに乗り、3回転ルッツと中盤の3連続ジャンプ以外は大きなミスが出なかった。
このところ毎回のように繰り返される問答がある。不安定な3回転半を懸念する佐藤信夫コーチが「今回は2回転半にしたら」と勧め、浅田が「3回転半にします」と主張−−。だが、今回は浅田が名伯楽の意見に従う柔軟性をみせた。「SPで2回転半だったらもっと点数が伸びていた」と指摘され気持ちが傾き、直前練習の調子で自ら決断したという。佐藤コーチは「話がストレートに伝わりやすくなった」と、心の成長を評価する。
「ジャンプは1日でよくならない。日々の積み重ねが大事」と、遠くを見据えた21歳の浅田。「大人の女性を演じたい」と取り組むフリーの「愛の夢」でまた1段、階段を上った。
【芳賀竜也】
毎日新聞 2011年11月12日 23時18分(最終更新 11月13日 9時00分)