ベッジ・パードン

caltec2011-07-03



世田谷パブリックシアターにて、シスカンパニー公演『ベッジ・パードン』を観劇。外れがないシスカンパニー公演、そして今回は脚本・演出が三谷幸喜、出演に深津絵理浅野和之、と来れば絶対外れることがない!と(いや、前回の三谷作品『国民の映画』はNo Goodだったが)、立ち見を覚悟で当日券狙いでの観劇。 結果としては、3階席の最後列の立ち見となったが、舞台全体が観やすく、見切れる箇所等もなく、逆に3000円で観てしまってよいのか?(シアターコクーンコクーンシートの方がよっぽど見切れるし、見づらいぞ(つぶやき))と思ってしまうほどだった。


この作品を一言で言うと、夏目漱石が作家になる前、ロンドンに留学していた頃の、漱石と下宿の女中とのラブストーリー、ということになるのだが、そこは三谷作品、笑いあり、涙あり、シリアスあり、と見所満載の、大サービス的なつくりになっていた。


野村萬斎演じる金之助と深津演じるアニーの恋物語を主軸としながら、金之助と惣太郎(大泉洋)の日本人同士の屈折した関係、そして浅野和之演じるイギリス人11人と金之助の人種・民族・文化の壁と、主に浦井健治演じるグリムズビーが巻き起こす騒動(ドタバタ劇)も描かれている。実に盛りだくさんの要素を、金之助の部屋という固定セットで5人の出演者で演じ、展開していくところは、三谷芝居ならでは。


全体的にはシリアス的な野村に対し、対にコメディ担当としての大泉、そして賑やかし担当(劇団☆新感線の『バラと海賊』の王子様キャラと大分被りますが)としての浦井。そして、その隙間を硬軟、男女、貴賎問わず様々な役を演じる浅野が埋めるという構造で、観ている方としては、その図式(方式)があるから、わかりやすかった。


ベッジを演じた深津絵理が、想像通りとても良かった。訛りが随所に出てくる台詞まわしを覚えながら、心根は優しいが、がさつで少し思慮深さに欠ける女中の役を演じきる(しかもコメディ的な要素もシリアス的な要素も求められる)のは至難の技かもしれないが、彼女だからこそ、実現できたベッジ役でもあると感じた。


<出演者>
  野村萬斎夏目金之助
  深津絵里:アニー・ぺリン(ベッジ)
  大泉 洋:畑中惣太郎
  浦井健治グリムズビー
  浅野和之:11役早変り!



音 楽 : ★★☆☆☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★★★☆
舞台/衣装:★★★☆☆
満足度 : ★★★★☆


★前売りが取れなかった皆様へ★
立ち見でも良ければ、当日券があります。
立見席もそれなりに枚数があるようだったので、駄目もとで劇場に足を運ぶ、もしくは、公演前日のお昼(12:00〜14:00)のぴあ受付に挑戦してみることをお勧めします。



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