モーツァルト!


帝国劇場にて「モーツァルト!」を観劇。今回から主役のヴォルフガング・モーツァルトに変化があり、中川晃教が抜けて、山崎育三郎が参加。


以下、メインキャストの感想を・・・


【ウォルフガング】 山崎育三郎

アッキー(中川晃教)の当たり役ともいえるヴォルフガング。彼が抜けた穴を埋めるのが、東宝ミュージカル期待の山崎育三郎。東宝の彼に対する期待のあわられとも言えるが、本作品への参加は、彼にとってはチャンスでもあり、また試練でもあったと思う。


雰囲気的には明るく、元気なヴォルフガングでイメージ的には井上君よりはアッキーよりではある。が、一生懸命ヤンチャなヴォルフを演じようとしている点が(初々しくて)好ましくもあり、また(今までの経験者二人の演技と比べると)物足りなくもあった。まさにウォルフを演じるためにいるような中川ヴォルフと、演技に深みを増してきた井上ヴォルフと比べると、まだまだ歌をなぞらえるレベルを脱していない感はあり。ただ、井上君の初演の頃と比べれば、山崎ヴォルフ、頑張っていたと思います。3人のヴォルフの中では声が一番太いのが、外見に似合わず、以外。Hiro演じるコンスタンツェとのバランスは山崎ヴォルフが一番合うかもしれない。


【コンスタンツェ(モーツァルトの妻)】 島袋寛子(SPEED)

前回観たときは、Hiroのコンスってどうよ?と疑問ありありだったが、今回観て、今まで観たコンス(松たか子西田ひかる木村佳乃)の中では、一番しっくりとくるコンス像だった。他の3人と比べて演技力が勝っているということではないと思うが、家族からは酷い扱いを受け、あまり賢いわけでもなく、でもウォルフの前では自然体でいられる、というコンス像に違和感がないのが、Hiroコンス(他の3人は、しっかりとしすぎていて、コンスっぽくない)。また「ダンスは踊れない」のナンバーをしっかりと歌えているのもHiroコンス。苦手はいるようだが、個人的に○。


【レオポルトモーツァルトの父)】 市村正親
今回の市村パパは、息子(ウォルフ:山崎育三郎)が可愛くて、そして心配でたまらない、という愛情溢れるパパで、今までの「ある一面では冷徹でもあった父親像」とは違うレオポルト像を演じていた。父として息子を思い「心を鬼にして冷たくしているが、それは息子を想ってのことだ。でも、息子のことが心配でたまらないが、黙って見守るしかない」という父親としてのもどかしさ、みたいなものも感じとられた。


【ナンネール(モーツァルトの姉)】 高橋由美子
初演からずっとシングルキャストの高橋ナンネール。今まではウォルフの姉役ではあるものの、母親のような視点で弟を見ていたのが、今回から少し冷たくなったというか、突き放した感が感じられました。個人的には父親(レオポルト)がウォルフに対して甘くなった分、姉(ナンネール)は少し厳しくしてバランスを取ったのか?と感じました。


【コロレド大司教 山口祐一郎
山口司教、苦手なはずが、、今回は特に「あれ?」と思うこともなく、安心して観ていられ、、、そして、馬車に揺られての、あの有名なコミカルなシーンでは、そのおかしい様子も一層上がり、、個人的に○でした。ただ、ずっと彼がこの役をやるべきか、という問題はありますが。


【ヴァルトシュテッテン男爵夫人】 香寿たつき

前回見たときの香寿男爵夫人は、(宝塚退団後間もないこともあってか)前へ前へと出すぎで、名ナンバー「金の星から降る金貨」は歌い上げすぎで香寿オンステージになっている感があったが、今回の香寿男爵夫人、いいです! 歌は上手いし、芝居も良い。何より自己を相対化できている点が良くなったと。作品全体の中での自らの位置取りというか、役割を理解し(出すぎず、引きすぎず)、そしてヴォルフの才能に魅せられた、社交界の中心にいる貴族という立場を踏まえた上での演技で、目立つところでは目立ち、サポートとして支えるところでは支え、期待通りの働きをしていたように感じます。


【 アルコ伯爵(大司教の側近)】 武岡淳一

今回のキャスティングで一番良かったのは、実はアルコ伯爵が武岡さんに変ったこと。歌えるし、コミカルな演技も出来るしで、聞いてよし、コロレドとの掛け合いでの芝居も良し、破綻のないアルコ伯爵で見ていて気持ち良かったです。



音 楽 : ★★★★☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装:★★★☆☆
満足度 : ★★★★☆