フランス大会
オリンピックシーズンが終わった翌年の今シーズン、浅田選手以外のオリンピックのメダリスト(キム・ヨナ、ジョアニー・ロシェット)は国際大会にはまだエントリーしていません。オリンピックが終わった後、少し休もうというのではなく、次のオリンピックをにらみ、更なる高みを目指そう、とジャンプ改良に取り組む浅田選手の姿勢には学ぶべきものが多くあります。
知らず知らずのうちについてしまったジャンプの癖を直すのは大変なことだと思いますし、現在ジャンプ修正中のため、思うような結果が出ないこともあるかと思います。目標を大きく持って、今はその途中段階なんだ、と思うくらいの気持ちで大会に臨まないとなかなか難しいのかもしれません。ただ、浅田選手の気持ちが途中で折れてしまわないことを祈るばかりです。
NHK杯の「豊の部屋」で樋口先生が浅田選手のことを思い、涙を流されてましたが、選手一人一人のことを長い目で見て、ひとつずつステップアップしていく、そういう視線も大事なんだと思います。そういう意味では一部のマスコミ報道はちょっとなあ、、と思ったりもしますが、そこまで求めるのは無理ってものか。。。
真央「我慢の時期」フランス杯、ジャンプミス相次ぎ5位
「最低だった」というNHK杯(8位)よりも順位は上がったが、決して満足のいく結果ではない。「練習では出来ているものが本番では入ってこない」と浅田。フリーもジャンプのミスが相次いだ。
「2度跳ぶ予定だった」というトリプルアクセル(3回転半)はいずれも踏み切った段階で失敗と分かるジャンプ。七つのジャンプ要素のうち、成功したのは三つだけ。これでは勝負にならないことは、一番よく分かっている。
最大の武器であるはずのジャンプがいつよみがえるのか。「良い時も悪い時もあるので、いずれは出来るとは思うけど、それが早く出来るようにしたい」と浅田は話す。オフにタイミングの取り方などを修正して臨んでいるが、まだ体になじんでいないというのが実情だろう。
9月に就任した佐藤信夫コーチは「練習では出来ているつもりでも、こうして試合になるとジャンプが決まらなくなって焦ってしまう。彼女も不安だと思うが、これは時間との戦い。待つしかない」と話す。たとえ失敗ジャンプに見えても、佐藤コーチの目からすれば、良い方向に進んでいる手応えもあるという。
世界女王は自分に言い聞かせる。「我慢の時期だと思う。あとは、気持ちの問題です」。2季連続でGPファイナル進出を逃した悔しさをバネにして、世界選手権(東京)の出場権がかかる暮れの全日本選手権に向け、跳び続けるだけだ。(坂上武司)
(asahi.com 2010年11月29日8時44分)
「浅田 ただ時間必要」フィギュア 佐藤コーチに聞く
フィギュアスケートの浅田真央(中京大)が今季前半戦のグランプリ(GP)シリーズでNHK杯8位、フランス杯5位に終わり、2季連続でGPファイナル出場を逃した。2度の世界女王に輝く浅田の再生はいつになるのか。9月から浅田を指導する佐藤信夫コーチ(68)に要因などについて尋ねた。
――試合で浅田本来の力を発揮できていないが。
「原因が一つだったら、問題を解決するのは簡単。僕は浅田選手にスケートはミックスジュースのようなもの、と言っている。リンゴやバナナやイチゴ ――。いろいろなものが混ざっているからこそ、味が出る。ミックスジュースのように三つの要素がバランスよくできていないと、良い答えは出てこないと。では、リンゴやバナナが彼女にとって何なんだ、という部分は感覚の世界なので具体的には言えない。ただ時間が必要です」
――フランス杯の公式練習では、身ぶり手ぶりで指導する場面が目立った。
「良くなるのを待つしかない、と言っても、本番の試合になると基本的なことばかりは言っていられない。ただ、ベーシックな部分を省略して付け焼き刃でやってしまったら、また元に戻ってしまう危険性がある。全日本選手権もあるが、そこは同時並行でやっていかないといけない」
――具体的に今後どの部分を修正していきたいか。
「技術的なことは具体的には言えない。僕が技術的な問題点を一つ言って報道されてしまうと、それが独り歩きしてしまう。皆さんの目にはこれは失敗ジャンプだなと思うものでも、僕には良いものだな、と思うものがある。僕自身は形になりかけていると思っているし、あとは時間との戦いで待つしかないと思う。彼女がそれをどこまで我慢できるかだと思う」(パリ=坂上武司)
(asahi.com 2010年11月30日10時31分)