戯伝写楽

caltec2010-04-14



青山劇場にて「戯伝写楽」を観劇。


たった10ヶ月しか制作活動をしなかった、伝説の画家、写楽。その写楽が女性だったら、、、という設定でストーリーが展開されていく本作品、歌麿北斎などの浮世絵画家も登場し、物語の舞台を構成している。脚本も中島かずきらしい、主人公とヒロインの恋愛と別れ、、とといういつもの展開で良かった。


個人的に残念だなと思ったのが、音楽と、舞台装置。江戸・浮世絵の設定なのに比し、演奏される音楽(楽器含め)がワールドミュージック。パーカッションのリズムが効果的過ぎるくらいに効いているので、楽曲(歌声)を堪能することが出来ず、、、なかなか歌い手にとっては難しい演目になった印象を受けた。


また、舞台については、舞台装置で世界観を作りこむというのとは全く逆の、ミニマムな箱を用意し、観客の想像によって、その箱が店になったり、丘になったり、、、変わっていくという構成。 音楽・舞台美術という2つの要素から江戸の街という世界観を構築することが出来なかったのは、残念に思う。(その代わりと言っては何だが、キャストの演技には集中できた)


出演陣としては、写楽に宝塚退団後第二作となる大和悠河。歌声だけではなく、台詞まわしまで含め終始裏声。立ち姿の美しさ、スタイルの良さ、透明感を持ちながらもキラキラと輝く雰囲気など、彼女の持ち味を存分に発揮しながらも、元男役というイメージを払拭することに成功した。が、台詞までも裏声で話しているためか、芝居心を感じることができなかった。もっとも写楽自体が浮世離れした人物設定だけに、それを狙っての芝居なら、たいしたものだ。


写楽と恋に落ちる十郎兵衛を橋本さとし、与七を東山、そして岸祐二辛島小恵小西遼生など、東宝ミュージカルではおなじみの役者が揃い、舞台を引き締めていく。 個人的に疑問だったのは、花魁の浮雲役で起用されたソニン。スタイル抜群の大和がいるためも合ってか、見た目のバランスに難あり。花魁に必要な艶やかさ、気だるいような、でも凛としたような、雰囲気を醸し出すには至らなかった。また本人の持ち味である「強さ」が前面に出すぎた感もあり、もう少し違った「魅せ方」で演じた方が良かったのではないかという感想をもった。


<出演者>
  斉藤十郎兵衛:橋本さとし
  おせい(写楽):大和悠河
  鉄蔵(葛飾北斎):葛山信吾
  浮雲    :ソニン
  与七    :東山義久
  大田南畝  :岸祐二 
  喜多川歌麿 :小西遼生
  蔦屋重三郎 :山路和弘

  辛島小恵
  高谷あゆみ
  林 希
  石井一彰
  遠山大輔
  海老澤健次
  コング桑田



音 楽 : ★★☆☆☆
脚 本 : ★★☆☆☆
演 出 : ★★☆☆☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装: ★★☆☆☆
満足度 : ★★☆☆☆



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