グランプリシリーズ第5戦:アメリカ大会

caltec2009-11-16


フィギュアスケートスケートアメリカ ヨナ、逃げ切りV


レークプラシッド(米ニューヨーク州)小坂大】


グランプリ(GP)シリーズ第5戦の最終日は15日、2種目があった。


<女子シングル>


女子フリーで金妍児キム・ヨナ、韓国)が計187・98点で第1戦フランス杯に続いて優勝。GPシリーズのポイント上位6選手で争うGPファイナル(12月3〜6日、東京)への進出を決めた。金はジャンプで転倒するなど得点は伸び悩み、フリーは2位だったが、歴代女子世界最高得点を出した前日のショートプログラム(SP)の差で逃げ切った。フリー1位(SP2位)で今年3月の世界選手権5位のレイチェル・フラット(米国)が計174・91点で2位に入った。


SP4位の村主章枝(AK)はフリー5位の計148・99点で4位に終わった。また、すでに2大会を終えている中野友加里プリンスホテル)はGPファイナル進出の可能性がなくなった。


◇ミス連発、フリー2位 「靴ひもゆるく…」神経質さ露呈


氷に立てたエッジが「ガリッ」と鈍い音を立てる。前日は完ぺきに決めた3回転ルッツ−3回転トーループの連続ジャンプは踏み切りから明らかに滑らかさに欠け、回転不足と判定された。これが昨季世界女王・金妍児をぼうぜんとさせたフリーの演技の幕開けだ。


続く3回転フリップはバランスを崩して尻もちをつく大過失。第1戦のフランス杯では回避した技だ。序盤のミスで流れが悪くなり、フリーは世界最高得点を出したフランス杯よりも22・25点低い111・70点。全体2位のフラットを下回る内容に、前日は喝采(かっさい)を送った観客も大きなため息をついた。


金は「試合が始まる前に靴のひもが緩く感じた。締め直したらきつく感じ、それで神経質になった」と説明する。


フランス杯で3回転フリップを跳ばなかったときは「氷に何かあったみたいで怖かった」と言っていた。気になると、どんな細かいことにも神経質になってしまうらしい。


恐らく3回転フリップへの苦手意識やSPで高得点を出したことへの周囲の期待などが織り交ざって19歳の心が揺れたに違いない。「それでも全体の1位だったのでよかった。次はベストを尽くす」と気を取り直した金。圧倒的な強さは、ガラスのような繊細さも内包しているのだった。【小坂大】


◇村主伸びず4位


村主はジャンプの出来が悪くフリーは5位と伸び悩み。もちろんGPファイナルには届かず「(練習の)時間が足りず体力的に問題があった」と振り返った。


それでも自信を持っている表現力で観客から手拍子を受ける場面もあり「もう少し盛り上げられる」と手応えもつかんだ様子。五輪代表の最終選考会となる年末の全日本選手権に向けて「何とか仕上げます」と一発勝負にかけていた。


◇17歳フラット2位


2位となったフラットは17歳の高校生。これでGPファイナル進出の可能性も高まってきて「とてもうれしい。最後は疲れたけど、こんなに出来がよかったことはない」と弾んだ声で語った。


まだ細かい動きは粗いが、この日は7回のジャンプをすべて成功させるなど躍動感ある演技が持ち味。06年トリノ五輪銀メダリストのコーエンの復帰が遅れてエースが不在の米国勢にとっては頼もしい選手が台頭してきた。


アイスダンス


アイスダンスのフリーは06年トリノ五輪銀メダルのタニス・ベルビン、ベンジャミン・アゴスト組(米国)が計195・85点で優勝した。


毎日新聞 2009年11月16日 東京夕刊)



人気ブログランキングへ