グランプリシリーズ第2戦:ロシア大会

caltec2009-10-25


フィギュアGP:安藤が逆転優勝 浅田5位 ロシア杯


女子シングル


フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦ロシア杯は24日、モスクワのアイス・パレス・メガスポーツで女子のフリーがあり、ショートプログラム(SP)で3位だった安藤美姫トヨタ自動車)が逆転で優勝した。SPで6位と出遅れた浅田真央中京大)はフリーでも振るわず、5位に終わった。2位はアシュレイ・ワグナー(米国)、3位はアレーナ・レオノワ(ロシア)だった。


安藤はフリーで114.75点をマークしてSPとの合計を171.93点とし、GPシリーズでは06年のスケートアメリカ以来の優勝。浅田はフリー98.34点の合計150.28点で、SP、フリー、合計とも自己ワースト得点だった。


GPシリーズの上位6選手によるGPファイナルは12月に東京で行われるが、浅田は前週のフランス杯2位、ロシア杯5位という結果に終わり、ファイナル出場は厳しくなった。安藤はこのロシア杯が初戦で、次は11月に長野で行われるGPシリーズ第4戦、NHK杯に出場する。


◇安藤、3年ぶりのGP優勝


万全からは程遠い演技だったが、昨季世界選手権銅メダルの安藤は勝ち方を知っていた。SPで6点以内に6人が入る混戦を抜け出し、3年ぶり2度目のGP優勝を果たした。


「ちょっと疲れていたので(要素は)簡単なものにした」と説明する通り、3−3回転連続ジャンプを回避。スピード感に欠け、序盤のダブルアクセル(2回転半)−3回転トーループは、トーループが回転不足で転倒した。ただし、自身の不調を感じて終盤の3連続ジャンプを2連続に変えるなど、冷静だった。上位選手が崩れる中、傷を最小限にとどめた。


試合後は「全く納得していない」と言いつつも表情は明るく、「いい形で課題が見つかった」と強調した。今季初戦となる今大会は「ジャンプ以外の面の評価を見たい」と、スピンなどのレベル認定、表現力などを表すプログラム構成点の出方などを確認できた。「ジャンプは一番大事なところでやる。自分のペースで仕上げていく」と余力を十分残しながらの戦いだった。


06年トリノ五輪前は不調で自分を見失った時期もあったが、今季は最高のスタートを切り、「五輪シーズンを一度経験しているので、落ち着いて臨める」と精神面の成長も著しい。「滑った感じでは、プログラムに不安はない」と手応えはつかんだ。来月上旬のNHK杯、さらにその先のバンクーバー五輪へ続く道を、安藤が確かな足取りで歩み始めた。【来住哲司】


◇浅田、自己ワーストで惨敗


浅田のGPファイナル進出の夢はほぼ断たれた。自己ワーストの合計150.28点で5位と惨敗した。


トリプルアクセル(3回転半)が、この日も決まらない。冒頭に跳んで転倒し、続けて試みて1回転半。これで今季は8度挑戦して成功は1度だけだ。公式練習で不調だった3回転フリップは二つともミス。「アクセルを意識したくないが、どうしても力が入ってしまう。練習では跳べているし、気持ちの問題」と浅田。タチアナ・タラソワコーチは「原因は分からない。自信不足か恐れか……」と首をかしげた。


連戦の疲れの影響はある。だが、昨年12月の全日本選手権以降は今年4月の世界国別対抗戦を除き、好演技がない。滑りにスピードや伸びやかさが消え、その分ジャンプを滑りの勢いではなく、力任せに跳ぶから失敗しやすい。高難度の技を詰め込んだプログラムが浅田の滑りから余裕を奪っているが、タラソワコーチは「プログラムは一日で作り直せる。今回の結果は残念だが、悲劇ではなく過程だ」と強調する。


浅田は「気持ちを真っ白にして、次は新しい気持ちでやりたい」と誓う。次戦は12月下旬の五輪代表最終選考会・全日本選手権が濃厚。試合後にホテルでタラソワコーチと1時間余り協議し、曲は変えないものの、プログラムの構成を緩やかにする方針を決めた。今までの取り組みを改め、復活を模索する。【来住哲司】


毎日新聞 2009年10月25日 9時06分(最終更新 10月25日 10時32分))



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