怪談 牡丹燈籠
Bunkamuraシアターコクーンにて「怪談 牡丹燈籠」を観劇。
歌舞伎の有名な怪談物ときいて、話してどんな舞台になることやら、、、と思いながらの観劇だったが、果たしてどうしていつもの「いのうえ」節の効いた良い舞台になっていた。
本作品を見て感じたのは「女は怖い」ということ。作品の中に伴蔵(段田安則)とお峰(伊藤蘭)、お国(秋山菜津子)と源次郎(千葉哲也)、新三郎(瑛太)とお露(柴本幸)という3組のカップルが出てくるが、一途に男性を強く想うのは女性の方で、愛する人のためなら何でもする(殺人、主人を売る、あの世に連れて行く)というところも共通するところ。
気になっていた「怪談」という点も、見ていくうちに、これは怪談ではなく、男女の仲を扱った普遍的な話であることがわかり、いろいろと思いをめぐらしながら観劇することが出来た。
伴蔵役の段田はさすがの上手さ。キップの良さ、男の持つだらしなさや愛しさを表現できれば文句のつけようがないところだが、もともと持っている持ち味から考えると、それは無理な注文か。。
お峰役の伊藤は、テレビでの印象が強いせいか、こんな芝居をする人だったのか、、と「強い女」っぷりに驚いた。
お国役の秋山、源次郎役の千葉は期待通りの働きをし、きっちりと舞台を引き締める。個人的にはお米とお六を演じた梅沢昌代が良かった。やはり経験豊富な役者さんは貴重だ。
新三郎(瑛太)とお露(柴崎)の2人は、検討していたと思うが、もっと「できる」はずだという印象を受けた。同じく初舞台だった地球ゴージャス「星の大地に降る涙」三浦春馬の健闘振りと比べると、瑛太はちょっと大人しかった気がする。
見得を切るポーズや、花道があることを想定した役者の動線など、随所に歌舞伎を思わせる演出や、舞台装置の作りの面白さ、そして何より「男と女の情」を前面に押出した演出など、中々に見ていて楽しめた公演だった。
脚 本 : ★★★★☆
演 出 : ★★★★☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装: ★★☆☆☆
満足度 : ★★★★☆
<主なキャスト>
伴蔵: 段田 安則
お峰: 伊藤 蘭
お国: 秋山 菜津子
源次郎:千葉 哲也
新三郎:瑛太
お露: 柴本 幸
お米/お六:梅沢 昌代
平左衛門:大河内 浩
和尚: 松澤 一之
久蔵: 市川 しんぺー
お竹/お梅:西尾 まり
お絹: 保坂 エマ
丁稚: 粕谷 吉洋
三遊亭円朝:森本 健介