特別展「染付−藍が彩るアジアの器」

caltec2009-08-21



上野にある東京国立博物館 平成館にて、特別展「染付−藍が彩るアジアの器」を観る。


このブログでもさんざん書いているとおり、caltecは大の陶器好き、そして購入している陶器のほぼ8割が染付けという、染付けマニアであったりする(本当は染付け以外の陶器も買いたいが、そうすると収拾がつかなくなるため、特別なものを除いては染付けに泣く泣く限定している、というのが事実だったりする)わけで、当然、今回の展覧会、かなり期待が高まっての鑑賞となった。


美術館のHPによる本展覧会の紹介は下記の通り。

染付(そめつけ)とは白磁の素地にコバルトを含んだ顔料(がんりょう)を用いて筆で文様を描く技法をいいます。透明釉(とうめいゆう)を掛けて焼成すると、文様は鮮やかな藍色に発色します。中国では青花(せいか)、欧米ではブルー・アンド・ホワイト、日本ではきものの藍染(あいぞめ)を思わせることから染付とよばれました。


中国では、染付すなわち青花の技術と様式が完成されたのは元時代後期のことです。明時代には宮中の御用品を焼く官窯(かんよう)でも採用され、以後磁器の絵付け技法の主流となります。また、染付はベトナムや朝鮮に伝わり、それぞれに個性豊かなやきものが作られました。日本では江戸時代初期に朝鮮半島から渡来した陶工によって技術が伝えられ、九州肥前有田(ひぜんありた)において染付の生産が始まり、やがて繊細なダミ染めの技法を駆使した優美な様式が完成されます。


アジア各地で作られた染付の多様性をご覧いただくと同時に、日々の暮らしのなかで親しまれてきた実用の器としての染付の魅力をぜひお楽しみください。


本展覧会の構成は、下記の通りで、元の時代から現代に至るまでの「染付け」の歴史と地域の広がりをわかりやすい展示構成で紹介していると言っていい。

 
  ■第1章 元時代の染付
  ■第2章 明時代前期の染付
  ■第3章 雲堂手―民窯の染付
  ■第4章 明時代後期の染付
  ■第5章 ベトナムの染付
  ■第6章 朝鮮の染付
  ■第7章 明末清初の染付
  ■第8章 伊万里と鍋島の染付
  ■第9章 清時代の染付
  ■第10章 京焼と地方窯の染付
  ■第11章 伊万里染付大皿―平野耕輔コレクション
  ■第12章 染付の美を活かす


ただ、染付けの歴史についてある程度概要知識があり、かつ本場中国や台湾で青花の名品の多くを見てきた者にとっては、最後のコーナーまでは正直言って物足りなかった。


「これで終わってしまうのか?」と最終コーナーを折り返したところ出てきたのが「伊万里染付大皿―平野耕輔コレクション」。いやー、これが面白かった。55枚に及ぶ個性的な伊万里の大皿。日本地図、ウサギのモチーフ、植物のモチーフなど様々で、そして一枚一枚とても手がこんでいる。


この作品群に出会えただけで、今回は来て良かった、と思わせるものがあった。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★★☆



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