この森で天使はバスを降りた

caltec2009-05-16



日比谷のシアタークリエにて「この森で天使はバスを降りた 」を観劇。


実を言うとあまり期待していなかったのだが、観劇後の感想は、一言で言うと「観て良かった」。派手さはないものの、出演陣の確かな歌唱力と演技力、そして心温まるストーリーに癒されたとでもいうのか。じわじわと心が満たされてくる、そんな作品だったと思う。


アメリカ中西部のとある田舎町に、刑務所を出所した主人公パーシー(大塚ちひろ)がやってきて、スピットファイヤーというレストランで働く。このレストランの女主人ハンナ(剣幸)は、店を売りに出しているが、なかなか買い手がつかない。そんな折、パーシーの発案で、100ドルの参加費で「もし店があたったらこんなことをしたい」というエッセイコンテスト(懸賞)をし、優勝商品をこの店にする、、、という新聞広告を出す。


ここから物語が大きく進みだし、登場人物各人は、それぞれの抱えているトラウマを克服し、未来へと向かって歩いていく。。。


ストーリーの大枠はこんな感じだが、同名のタイトルの映画が原作なので、まずはその映画を観てから本作品を見ても、ラストが違うので、それはそれで楽しめると思う。


とにかく出演者が良い。「この人が出るから」と名前で客を呼べるというタイプのキャストではないかもしれないが、登場人物のキャラクターに合った人を選び、かつ確かな歌唱力、演技力がある人が選抜されているので、芝居の部分でも、ソロの歌の部分でも、そしてハーモニーの部分でも、大きく破綻することなく作品が展開していく。


特に物語の軸である女性3名(大塚、剣、土居)の歌が素晴らしかった。大塚の声の愛らしさ・明るさ、土居の声の澄んだ美しさ、そして剣の感情を表現できる歌声。エンディングでは、3者3様の声が、それぞれの登場人物の人生を背負いながら、重なることで、歌の世界でも、そして作品としても大きな広がりを持って物語が締めくくられる。


個人的には噂好きの、どちらかというと嫌な女性役の田中利花が、持ち前のコメディエンヌぶりを発揮しているのが良かった。カーテンコールのときまで役になりきって演技しているので、会場大ウケ。秋のレミゼでは、(今までの彼女とは少し違った)テナルディエ夫人像を作り出していることを期待したい。


気になったのはジョー役の藤岡で、ちょっと(かなり?)太り気味に? 秋のレミゼでマリウスを演じられるんだろうか?と少し不安に。。。


アメリカ中西部という場所を意識してか、音楽はフォークあり、カントリーあり、ブルースあり、という感じで、いわゆるミュージカルというジャンルの曲ではなかったが、耳に残るものもあり、個人的に聴いていて心地いいものが多かった印象を受けた。今回は初見だったが、2回・3回と観ていくうちに、だんだんとその良さが身にしみてくる。。そんなタイプの楽曲だと思う。


<主な配役>
  パーシー :大塚ちひろ
  ハンナ  :剣幸
  シェルビー:土居裕子
  ジョー  :藤岡正明
  ケイレブ :宮川浩
  訪問者  :草野徹
  エフィ  :田中利花



音 楽 : ★★★★☆
脚 本 : ★★★☆☆
演 出 : ★★★☆☆
役 者 : ★★★★☆
舞台/衣装: ★★★☆☆
満足度 : ★★★★☆



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