20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵 展

caltec2009-03-13



渋谷Bunkamura・ザ・ミュージアムにて「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵」展を見る。


美術館のHPによる本展覧会の概要は下記のとおり。

ノルトライン=ヴェストファーレン州は、ドイツにおいて最も大きな商工業圏をかたち作り、美術やファッションの分野の活動も盛んな地域です。その州都デュッセルドルフにあるノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館が所蔵する西欧近代美術のコレクションは、豊富な専門知識と優れた鑑識眼で選び抜かれた名品からなり、その質の高さはヨーロッパ屈指のものとして世界的に知られています。なかでも、同館のピカソとクレー作品のコレクションは、両作家の代表作からなるものとして特に高い評価を受けています。


今回、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館が改修工事のため休館する機をとらえ、この素晴らしいコレクションを世界に先駆け日本で初めて大々的に紹介する展覧会が実現することとなりました。展覧会では、同館が誇るピカソとクレーの名作を中心に、ミロ、マティスシャガールマグリット、エルンストなど西欧近代美術の人気作家、そしてマックス・ベックマンやフランツ・マルク、オスカー・シュレンマーなどドイツ近代美術を代表する作家を含む厳選された23作家の名品で、20世紀前半という極めて魅力的な美術の世界を展観します。


本展覧会の特徴は、「20世紀の美術潮流とクレーを知ることが出来ること」。最後に展開されるクレーの作品群が本展覧会のハイライトであることは間違いないが、そのクレーの作品に至るまで、20世紀の美術潮流を順を追って見る事が出来るのが、美術を好きな人にも、そうでない人にとっても、なかなか良い構成になっていると思う。


本展覧会は下記構成になっている
  第一章:表現主義的傾向の展開
  第二章:キュビズム的傾向の展開
  第三章:シュルレアリスム的傾向の展開
  第四章:カンディンスキーとクレーの展開


フォーヴィズム表現主義ダダイズム新古典主義キュビズムなど20世紀に興った美術界の運動や思想というものを作品を通じて(ある程度)理解できるのは、本展覧会の特徴の一つ。本展覧会に出展されている作品は超メジャーな作品というわけではないが、各美術表現を理解でき、そして画家の作風も把握でき、かつある一定のセンスで統一されたセレクションになっており、○○美術館所蔵展(所謂、引越し展)にありがちな「ゴチャゴチャ感」や「とりあえず有名作品だけ選んできてした」感がないのが素晴らしいところだ。


圧巻は第四章のクレー作品。このコーナーは異常に人が密集していたが、作品の小ささ(一つ一つの作品の感覚が狭いため、密集する)や、細部にまで謎解きのように描きこむクレーの特徴(一つの作品で見入るポイントが多い)や、充実度を考えると仕方ない点も。実際、僕も2/3はこの第四章のクレー作品の鑑賞に充てていた程。


昔からクレー作品が好きで、画集も数冊持っているが、本展覧会を見てもっといろんなクレー作品に触れたくなった。クレー作品が充実しているという、スイスのベルンにある「パウル・クレー・センター」。訪問を本格的に考えようかなという気になった。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★★☆



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