全日本選手権
女子フリー、最終組の演技ではSP４〜６位の武田、村主、鈴木が自分の現状でのベストに近い演技をしたのに比し、SP上位陣(１〜３位)の各人（中野、浅田、安藤）のジャンプにミスが出るという、対照的な結果となってしまいました。
特にSP１位の中野選手は、優勝が見えていただけに緊張していたようで、普段では見られないミス（途中でジャンプが開いてしまう）を連発し、代表からも漏れてしまう、という残念な結果に・・・
個人的には鈴木選手の演技が一番見ていて感じるものがありました。特に彼女のあの妖艶な表現というのは、日本の選手では、なかなか出せないもので、いい意味で大会を面白くしてくれたと思います。思ったより点数が低いような気がしたのですが、PCSはもう少し点数がでてもいいのになあ。。
村主選手は「やるときはやる」という昔の彼女が戻ってきたようで、本日の演技は、集中力を発揮したときの村主選手の演技でした。今季コーチをモロゾフに変えたことにより、ジャンプの軸の安定・高さ・確実性が増したのと、スピンのレベルも上がったように思います。そして何より、村主選手が精神的に安定したんだなという印象を受けました。先シーズン・先々シーズンについては、大一番で精神的に負けていたのかな、と思います。迷いがなくなった結果、彼女が本来持っている、スケートの早さが戻ってきて、それが後半のジャンプの成功にも繋がっていたように思います。
安藤選手のフリーは、グランプリシリーズファイナルから比べても、プログラムの密度が濃くなってました。安藤選手は四大陸選手権には出ずに、世界選手権のみの派遣になるようなので、これから２ヶ月半、プログラムの充実をはかってくると思うので、晴れの舞台での演技に期待したいです。
中野選手は残念な結果になってしまいました。ルッツとフリップが２回転判定からの減点になっていると思うので、あの技術点は仕方がないことは本人が一番良くわかっていると思います。「全日本選手権には独特の緊張感がある」とよく言われる事実や、「緊張に打ち勝つ」ということの難しさを今回の彼女を見ていて、つくづく感じました。SP１位でフリーに臨むという、なかなか経験できないことを今回の全日本では経験できたと思うので、この失敗を糧に来シーズンの飛躍を期待したいです。
浅田真央、逆転で３連覇…女子で８人目
【全日本フィギュア女子フリー】
フィギュアスケートの世界選手権（来年３月、米国・ロサンゼルス）などの代表選考会を兼ねた全日本選手権は最終日の２７日、長野ビッグハットで女子とアイスダンスのフリーが行われた。
女子はショートプログラム（ＳＰ）ＳＰ２位の浅田真央（愛知・中京大中京高）がフリーも２位で計１８２．４５点とし、逆転で３年連続３回目の優勝を飾った。３連覇は女子８人目。フリーの１位はＳＰ５位の村主章枝（ａｖｅｘ）で、計１７８．５９点で２位。ＳＰ３位の安藤美姫（トヨタ自動車）は計１７４．０９点で３位。上位３人が世界選手権代表で、村主は３年ぶりの出場。ＳＰ首位だった中野友加里（プリンスホテル）はフリー６位と崩れ、計１７２．６０点で５位に沈み、３年ぶりに表彰台を逃した。
アイスダンスは、オリジナルダンス（ＯＤ）まで首位のキャシー・リード、クリス・リード組（川越ク）が計１５６．３５点で２連覇した。
○…ＳＰ５位の村主がフリー１位で２位に浮上。３年ぶりの表彰台に立つとともに、世界選手権出場を決めた。ジャンプの着氷で姿勢がやや乱れる場面もあったものの、ほぼノーミス。近年は新採点方式に苦しみ、過去２年連続４位だったが、この日は技術点を示す総要素点が唯一６０点台（６２．６３点）をマークした。「ここ２、３年試行錯誤したことがつながって光が見えてきた」と復調に手応えを感じている様子。本番前の６分間練習で安藤とぶつかり、ともに転倒したが、「逆に本番は１人なので落ち着いて滑れた」という。「まだ課題は多い。最終的な目標はバンクーバー五輪」と気を引き締めていた。
○…安藤は３位に食い込み、３大会連続５回目の世界選手権代表に選ばれた。３回転ループで転倒などジャンプミスが目立ち「最悪でした」と言いつつも、「強い気持ちを持って自分なりに滑れた」とホッとした様子。演技直前の６分間練習で村主とぶつかって転倒し、右ひざを痛めて「筋肉が張って踏ん張れなかった」という。４回転サルコウなど大技も回避した。昨季の世界選手権は左足故障でフリーを途中棄権しており、「悔しい思いをした舞台に、もう一度立ちたいと思ってやってきた」。前回の悔しさを晴らす決意だ。
○…ＳＰ首位の中野はジャンプで回転不足やステップアウトなどミスが相次ぎ、フリー６位で総合５位。初優勝どころか表彰台も逃した。「思うように体が動かなかった。一番残念なのは、自分らしい演技が出来なかったこと。気持ちが弱かった」と悔やんだ。世界選手権では過去３年間、５位、５位、４位と安定感抜群で、日本がバンクーバー五輪出場枠３枠を確保するうえで貴重な戦力となるはずだったが、まさかの代表落選となった。
○…アイスダンスは日本人の母を持つ米国出身のリード姉弟組が２連覇。フリーはステップで弟のクリスがバランスを崩すなどミスが出たが、２位以下に４０点以上の大差をつけた。クリスは古傷の右ひざについて「少し痛みがある」といい、姉のキャシーは「クリスのひざのため練習不足だった」と明かした。世界選手権に向けてキャシーは「順位は気にしていないが、前回の１６位よりいい成績を取りたい」と抱負を述べた。
（毎日新聞 2008年12月27日 19時39分（最終更新 12月27日 22時59分）)
浅田選手は、パーフェクトでなくても、やはり勝ってしまうんだなあ、別格的な存在なんだなあ、ということを改めて認識させてくれましたね。気が早いですが、３月の世界選手権では、キム・ヨナ、浅田真央の表彰台は確実で、残る一枠を誰が取るか？ 実力的にはコストナーだが、好不調の波が激しいため、安定感を増しているロシェットが取るのか？という展開になりそうな気がします。
浅田真央：逆転Ｖ…偉業達成の一方で細かいミス目立つ
滑り終えた浅田真央は一瞬天を仰いだが、すぐ笑顔になった。ＳＰ２位から逆転で３連覇。「次は４連覇を目指したい」と話す顔には安堵（あんど）感が漂った。しかし偉業達成の一方で、細かいミスも目立った。
「仮面舞踏会」の力強いリズムに乗り、冒頭にトリプルアクセル（３回転半）−２回転トーループ、続いてトリプルアクセルに挑んだ。だがトリプルアクセルは、いずれも回転不足。中盤の３−３回転ジャンプも二つ目が回転不足となった。今季はＳＰを含め、まだ一度も３−３回転ジャンプに成功していない。ただ、３種類のスピンとスパイラルでレベル４認定。技と技のつなぎや、音楽との調和などを評価するプログラム構成点で、ただ１人６０点台を獲得した。
「ジャンプの申し子」と言われた浅田真が、トリプルアクセルを１回も決められなかったのは珍しい。今季から、回転数の認定が厳格化されたことも影響しているが、伊東秀仁・日本スケート連盟フィギュア部長は「（ＮＨＫ杯、ＧＰファイナルと）試合が続いて、疲れているのだろう」と気遣った。浅田真は「挑戦することが次の試合につながる」と前向きにとらえつつ、「４大陸選手権までに、しっかり直したい」と冷静に受け止めてもいた。
連覇がかかる世界選手権に向け、「コンディションをベストに持っていけるようにしたい」と浅田真。ミスのない演技を目指し、まだまだやるべきことは多い。
【山本亮子】
（毎日新聞 2008年12月27日 20時35分（最終更新 12月27日 23時02分））
大会後に発表になった世界選手権・四大陸選手権への派遣選手ですが、全日本選手権の上位からの代表という、一番スッキリする方法で良かったと思います。まあ（短期的な）怪我や病気で代表確実な選手が不出場という状況ではなかったからこそ成り立つ今年の選考結果からかもしれませんが。。
四大陸選手権に出場の鈴木選手には頑張って欲しいです！
世界、４大陸の代表決定 中野は４年連続逃す
日本スケート連盟は２７日、世界選手権（来年３月２４〜２８日、米国・ロサンゼルス）と４大陸選手権（来年２月４〜７日、カナダ・バンクーバー）の代表を決定した。中野友加里（プリンスホテル）は世界選手権代表に落選し、４年連続出場を逃した。代表は次の通り。
【世界選手権】
▽男子
織田信成（関大）小塚崇彦（トヨタ自動車）無良崇人（岡山・倉敷翠松高）
▽女子
浅田真央（愛知・中京大中京高）村主章枝（ａｖｅｘ）安藤美姫（トヨタ自動車）
【４大陸選手権】
▽男子
織田、小塚、南里康晴（ふくや）
▽女子
浅田真、村主、鈴木明子（邦和スポーツランド）
（毎日新聞 2008年12月27日 22時00分（最終更新 12月27日 22時24分））
