フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち

caltec2008-11-23



一大博物館・美術館タウンである上野にある東京都美術館にて、話題の「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」展を観る。率直な感想はというと下記のとおり。


①人が多すぎ。
②2人連れで観に来ている人が多い。
③通常より料金が高いのに、作品数が少ない。
④作品数は少ないが、展示作品の選択は良い。
フェルメール作品は7点もあって、名前に恥じない展覧会になっていた。


フェルメールを堪能したい人にはお勧め、、と言いたい所ですが、何せ人が多すぎるので、フェルメールの作品とジックリ対峙して作品を会話することは出来ません。作品の前にへばりついていると、係員の方から「後ろが大変閊えております。最前列にいる方はゆっくりでいいので、少しずつ横にずれながらご鑑賞ください」という攻撃を受けることになります。まあ、それ以前に無理やり前にこようと割り込んでくるオジサン・オバサン攻撃に合うことになるわけですが。。。


それぞれの感想をば。


①人が多すぎ。

琳派展、「対決−巨匠たちの 日本美術」展、モネ展と、人が多かった展覧会に遭遇はしていますが、今回のフェルメール展もその例に漏れずすごく人が多いです。しかも、お目当てのフェルメール作品は小作品が多いので、なかなか実物を近距離で見ることが出来ません。。 ゆっくりと鑑賞するなら、平日の閉館間際がお勧めだと思います。


②2人連れで観に来ている人が多い。

展覧会場では作品を見るのも楽しいですが、意匠や観客を見るのも楽しみだったりします。フェルメール展は、ご年配のご夫婦連れ、若者のカップル、女性2人組、そしてオジサン&若い女性のカップルを多く見かけました。
「あ、このTシャツかわいい。平日にこのTシャツ着たら、デートしてあげる」(By(おそらく出勤前の)お水の女性 to 同伴のお客様(オジサマ)に向かって)など、なかなか刺激的な会話を聞くことができました。


③通常より料金が高いのに、作品数が少ない。

料金はいつもの企画展より高いのに、作品数が少ないです。まあ不満ではありますが、その分、一つの作品にスペースを充分に割くことができるので、混雑緩和にはなっていたかもしれません。 しかし、相変わらずB1から1階に上がる階段前のコの字型の展示スペースは人が混み混み状態。なんとかならないのかなあ、東京美術館様。


④作品数は少ないが、展示作品の選択は良い。

デルフトの風景⇒デルフト派(とまでは行かないが、フェルメールと同時代の画家)の画風⇒フェルメール作品⇒フェルメール後の画家の画風、と流れに沿って作品観ていくと、フェルメールがその生涯を送ったデルフトの街がどんなところだったのか、彼の作風は同時代の中でどんな位置を占めているのか、類似点は何で、フェルメールの独自性は何か、ということが理解できる構成になっています。あとは人がもっと少なければジックリと鑑賞することが出来るのですが。。。


フェルメール作品は7点もあって、名前に恥じない展覧会になっていた。

今まで観たフェルメール展の中で一番の作品数。そして充実度としても一番かと思われます。実は今回出展された7作品のうち、初めて観たフェルメール作品が4点。かなり初顔合わせ率が高いです! 個人的には、急遽出展が決まった「手紙を書く婦人と召使い」 (アイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵)が良かったです。メットの静謐で調和の取れた「リュートを弾く女」にもまた会えたし、今回の出展作品は秀作が多かった。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★★☆


さてここで、前回アムステルダム国立美術館所蔵 フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展で書いた「世界にあるフェルメール作品、どれくらい観たのか」集計結果を変更しますと。。(☆が今回の出展作品) 現在見られるフェルメール作品であと見ていないのは、「音楽のレッスン」@ロンドン英国王室コレクション(バッキンガム宮殿・ウィンザー城)だけになりました! それ以外は今回のフェルメール展のおかげで全て観たことになります。感謝!!


<ヨーロッパ>
★「牛乳を注ぐ女」@アムステルダム 国立美術館(2002年、2007年:東京)
★「手紙を読む青衣の女」@アムステルダム 国立美術館(2002年)
★「恋文」@アムステルダム 国立美術館(2000年:東京、2002年)
☆「小路」@アムステルダム 国立美術館(2002年、2008年:東京)
★「真珠の耳飾りの少女」@ハーグ マウリッツホイス美術館(2000年:大阪、2002年)
☆「ディアナとニンフたち」@ハーグ マウリッツホイス美術館(2002年、2008年:東京)
★「デルフトの眺望」@ハーグ マウリッツホイス美術館(2002年)
★「紳士とワインを飲む女」(「ぶどう酒のグラス」)@ベルリン 国立絵画館(2006年)
★「真珠の首飾りの女」@ベルリン 国立絵画館(2006年)
★「取り持ち女」(「遣り手婆」)@ドレスデン 国立絵画館(2001年)
★「窓辺で手紙を読む女」@ドレスデン 国立絵画館(2001年、2005年:東京)
★「地理学者」@フランクフルト シュテーデル美術研究所(2000年:大阪)
★「絵画芸術」(「画家のアトリエ」)@ウィーン 美術史美術館(2003年、2004年:東京)
★「レースを編む女」@パリ ルーブル美術館(1999年)
★「天文学者」@パリ ルーブル美術館(1999年)
★「ブァージナルの前に座る女」@ロンドン ナショナル・ギャラリー(2007年)
★「ブァージナルの前に立つ女」@ロンドン ナショナル・ギャラリー(2007年)
☆「ギターを弾く女」@ロンドン ケンウッド・ハウス (イングリッシュ・ヘリテッジ)(2008年:東京)
未「音楽のレッスン」@ロンドン英国王室コレクション(バッキンガム宮殿・ウィンザー城)
☆「マルタとマリアの家のキリスト」@エディンバラ 国立スコットランド美術館(2008年:東京)
☆「手紙を書く婦人と召使い」@ダブリン アイルランド国立美術館(2008年:東京)
☆「二人の紳士と女」(「ワイングラスを持つ娘」)@ブラウンシュバイク ヘルツォーグ・アルトン・ウルリッヒ美術館(2008年:東京)


アメリカ>
★「手紙を書く婦人」@ワシントン ナショナル・ギャラリー(1994年、1999年:東京)
★「天秤を持つ婦人」@ワシントン ナショナル・ギャラリー(1994年、2000年:大阪)
★「赤い帽子の娘」@ワシントン ナショナル・ギャラリー(1994年)
★「フルートを持つ娘」@ワシントン ナショナル・ギャラリー(1994年)
★「水差しを持つ女」@ニューヨーク メトロポリタン美術館(1994年)
★「少女」(「娘の頭部」)@ニューヨーク メトロポリタン美術館(1994年)
★「眠る女」@ニューヨーク メトロポリタン美術館(1994年)
☆「窓辺でリュートを弾く女」@ニューヨーク メトロポリタン美術館(1994年、2000年:大阪、2008年:東京)
★「信仰の寓意」@ニューヨーク メトロポリタン美術館(1994年)
★「兵士と笑う娘」@ニューヨーク フリック・コレクション(1994年)
★「稽古の中断」(「中断されたレッスン」)@ニューヨーク フリック・コレクション(1994年)
★「婦人と召使い」@ニューヨーク フリック・コレクション(1994年)
★「聖女プラクセデス」@プリンストン バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション基金(2000年:大阪)
未「合奏」@ボストン イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(現在盗難に遭い行方知れず…)


★:既に観賞(観た年)
☆:今回の展示作品
未:まだ観ていない作品:盗難中の「合奏」を除き、残り一つです!



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