北京オリンピック: 体操 男子団体

caltec2008-08-12



北京オリンピック、個人的に楽しみにしていたのが、実は男子体操でした。アテネで金メダルを取ったということもあって注目していたのですが、昔から体操(特に団体戦)が好きなんですね。


種目毎に入れ替わる順位。そしてチーム戦故感じることができるチーム内での連帯感、そして心理戦(鉄棒やあん馬など、落下が続くと他の種目でも精彩を欠いてきたりする。。。)。 いろいろな要素で見ることができ、なかなかに学ぶところが多かったりもします。

体操男子団体総合 日本「銀」、連覇ならず


北京五輪第5日の12日、体操の男子団体総合決勝があり、予選2位通過の日本は銀メダルで2連覇を逃した。中国が金メダルを獲得した。


競泳の決勝があり、女子100メートル背泳ぎでは、04年アテネ五輪200メートル背泳ぎ銅メダルの中村礼子(東京SC)が59秒72で6位。伊藤華英セントラルスポーツ)は8位。男子200メートル自由形マイケル・フェルプス(米国)が1分42秒96の世界新で勝ち、今大会三つ目の金。通算9個の金は陸上男子のカール・ルイス(米国)ら4人が持つ最多タイ記録。同種目の奥村幸大(よしひろ)(イトマンSS)は7位。


レスリングの男子グレコローマン60キロ級は、昨年の世界選手権銀の笹本睦(まこと)(綜合警備保障)が2回戦で負け敗者復活戦に出られず、メダルに届かなかった。


柔道女子63キロ級の谷本歩実コマツ)が2大会連続の金メダルを獲得した。04年アテネ五輪に続くオール一本勝ちで快挙に花を添えた。柔道の五輪連覇は史上9人目で女子では3人目。2大会連続のオール一本勝ちは史上初。今大会の日本勢の金は三つになった。


ほかの日本勢はサッカー女子が5―1でノルウェーに大勝。2大会連続の決勝トーナメント進出(8強)を決めた。1次リーグが始まったソフトボールは4―3で初戦の豪州戦に勝った。バレーボール男子は1次リーグで世界ランク4位のブルガリアに1―3で敗れ、0勝2敗。


競泳男子200メートル平泳ぎでは100メートルに続く2冠を目指す北島康介日本コカ・コーラ)が準決勝進出。男子800メートルリレー予選で日本は7分9秒12の日本新をマーク、銅メダルだった64年東京大会以来の決勝進出を決めた。


朝日新聞 2008年8月13日2時5分)


北京オリンピック、男子団体の決勝は中国の圧勝でした。中国と日本の2強が突出している、という前評判でしたが、中国の一人勝ち状態は、予選以上でした。


ただ、日本の代表陣の顔ぶれをみると、水鳥・塚原・米山などアテネで活躍した選手ではなく、内村、坂本といった若手が代表に入ってでの銀メダル。明日を担う若手がオリンピックという大舞台を経験しているので、世代交代もスムーズに行くと思います。

「伝統」の強さ、魅せた6人


冨田(27)が鉄棒から、きれいに下りた。ガッツポーズ。12日の体操男子団体総合で銀メダルを獲得。日本の6人はハイタッチで健闘をたたえ合った。


6人はいつも、2組に分かれていた。アテネで栄光をつかんだ2人と、五輪初出場の4人の若者と。


冨田と鹿島(28)は多くを語る人ではない。若手に手取り足取りの指導もしない。ただ黙々と練習を続けた。


「だから僕が、下への説教役を買って出た」。3番目に年長の中瀬(25)は言う。


5月に始まった東京・ナショナルトレーニングセンター(NTC)での合宿生活。


学生の2人、内村(19)と坂本(21)は天才肌ゆえ、ゆったりとした調整を続けた。「そろそろ、あん馬の演技を完成させないとあかんやろ」。中瀬が発破をかけた。


社会人1年目の沖口(22)を含め、4人はよく部屋に集まった。対中国を想定した決勝の展開を思い描いた。


「ゆかで勝つだろ。あん馬とつり輪でちょっと負けて……。最後の鉄棒で逆転だ」


雑談に、上の2人は加わらない。「団体戦でも個人がやるべきことをするだけ」。冨田は突き放した言い方をする。本当はちょっと恥ずかしかった。「若い人にきつく言うのが苦手なんです」


普段は2組で分かれてアップしたNTCの体育館。中国やロシアの演技がビデオで流されるときは、6人は自然と集まった。


「この技はまねできないな」「これは微妙やな」


みんなで盛り上がり、出した結論は一致した。


「日本が一番いい体操をしている」


12日、団体総合の決勝。緊張で「最後の鉄棒は足がふわふわするよ」。鹿島から4年前の話を聞いていた中瀬は一番手で踏ん張った。内村が続く。冨田が締めた。


アテネと同じ色には届かなかった。でも、2大会連続のメダルを堂々と手に入れた。


寡黙で、恥ずかしがり屋のエースはしかし、若手に多くのものを残していた。いつも最後まで練習する姿勢、試合にピークを合わせる調整の仕方。最年少の内村は言う。「冨田さんの背中から多くを教わった。次は僕の世代が継がなきゃいけないと覚悟しています」


これが伝統国の強さだ。(平井隆介)


朝日新聞 2008年8月12日16時24分)