2008年7月


長らくお休みしていた「今月読んだ本」シリーズですが、一部の方から「書かないのは変だ」というご指摘があったり、またある方からは「最近は本を読んでいないんですか?」という突っ込みを受けたりしていたので、今月から復活します。


現代アートビジネス (アスキー新書 61)

現代アートビジネス (アスキー新書 61)


本の帯に奈良美智村上隆を余に送り出した仕掛け人が語る、アートとお金の関係とは?」とあるとおり、今や世界で注目を浴びている日本の現代アートの仕掛け人の一人、ギャラリストの小山登美夫が現代アートビジネスをわかりやすく語ったのが本書だと言える。


本人とアートとの関わり、ギャラリストの仕事の紹介、(現代)アートの価値の決まり方、現代アートのアーティストの紹介(奈良美智村上隆)、そして彼が夢見る日本のアート環境の未来まで、一気に楽しく読め、かつ今イチ遠い世界であると感じている「現代アート」を身近に感じることが出来る本書は、現代アート入門には最適の本だと思う。


日本におけるアートビジネスの普及を目指す作者が、本書で述べられた政治やビジネスの世界にアートを売り込む活動には大いに理解できた。先日森美術館で観た「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」もUBSという企業のメセナとして現代アートを企業がサポートする活動の一つであり、日本の優れた作品を企業や国がサポートしていくことが、実は日本のためになるのだ、という小山氏の主張には頷く点が多い。


また、本書のような初心者にもわかりやすい本を書き、アートビジネスを理解してくれる人を増やすのも、やはり彼のミッションの一つであると思うし、ギャラリストの活動と同時に、今後も一般の人々を啓蒙する活動をどんどん増やしていって欲しいと思う。


アートは観る人の心を豊かにし、またアートに関わる人の懐をも豊かにする、なんてのが一番の理想だったりしますね。(んなわけないか。。。)


]