琉球の織物 展

caltec2008-05-31



駒場にある日本民藝館にて「琉球の織物」展を見る。


柳 宗悦が初代館長を務めたことで有名な日本民藝館。その建物も含め、独特の美意識で統一されたMUSEUMがこの日本民藝館だと思う。数年前に横浜そごう美術館で開催された芹沢硑介の展覧会で沖縄の織物が展示されており、その独特の文様に興味を持っていたので、今回の展覧会を楽しみにして行った。


美術館HPによると、展覧会の概要は以下のとおりだ。

日本民藝館を創立して二年後の昭和13年の年末、念願かなって初めて沖縄を訪れた創設者の柳宗悦(その後、昭和15年にかけて三度訪問)が、その美しさに感銘を受けて仲間と共に蒐集した織物の数々を展示致します。素材は絹、木綿をはじめ、涼しげな苧麻(ちょま)、そして中国渡りの透明感あふれる桐板(トンビャン)、柳が『芭蕉布物語』で紹介した芭蕉(ばしょう)布など、実に豊かな広がりをもちます。それらが藍、紅、黄色に染められ、様々な技法で織られました。


柳は沖縄から戻って間もなく、『工藝』100号(沖縄特集)に次のように書いています。「沖縄の織物で最も驚嘆すべきものは絣の類です。続いては浮織の類なのです。絣は西洋で全く発達しなかった手法であって、東洋独自の織物として、世界に其の名が響く時は来るでしょう。そうして絣は特に日本がよく、其の日本の絣の中で最も見事なのは琉球のものです。特にあの色絣に至っては天下無類だと呼んでいいのです。」


インドに源を発し、インドネシアなどを経由して沖縄に入ったという絣、中でも機の上で緯糸を少しずつずらしながら模様を創る手結(ティユイ)と呼ぶ技法は、沖縄独特のものです。絣は地域毎に特色あるものが作られました。首里では格子に絣を組み合わせた手縞(ティジマ)や木綿の紺地絣、八重山では苧麻の白地や色地の絣、宮古では苧麻の紺地や色地のものなどが織られています。さらに中国に起源をもつといわれる紋織物(もんおりもの)があります。絹や木綿の花織(浮織)、上質の細い芭蕉で織った黄色や赤地の絽織(ろおり)、木綿の道屯織(どうとんおり)などですが、なかでも「花倉織」と呼ぶ花織と絽織が一枚におられた蜻蛉の羽のように透き通った藍染の衣裳は日本で唯一点のものです。読谷山の木綿花織と紅型(びんがた)を袷(あわせ)にした田舎綿衣(ワタジン)や花織りの手巾(ティサージ)も見逃せません。


柳たちが沖縄を訪ねた時、これらの多くは流行遅れのものとされ、首里の士族の女性が営む古着市などで売られていました。数年の後、不幸にも沖縄は戦争で尊い人命とともに多くの文物も灰燼に帰しました。そして、柳達が持ち帰った優れた一群の織物は、かけがえのない宝物となって当館に保存されているのです。


展示品を見ることで、確かに、沖縄独特の文様がどういうものか、なんとなく理解できたような気がした。それ以上に今回感じたのは、日本民藝館の独特の美意識。そしてこの館を訪れる人たちのタイプも、やはり絣だったり、織物だったり、天然素材だったりに興味をもたれているタイプの方々で、その違いを見るのも面白かった。


しかし、この近辺は気持のいい住宅地だなあ、といつも思います(ま、お金がなくて、とても住めませんが)。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★☆☆
満足度  :★★☆☆☆