ライト・イン・ザ・ピアッツア

caltec2007-12-16



ル テアトル銀座にて「ライト・イン・ザ・ピアッツア」を観劇。


フィレンツェアメリカ人の少女クララ(26歳だが、障害のため精神年齢は12歳)が、イタリア人青年ファブリツィオと恋に落ち、、、その2人と彼らの家族を巻き込んだ恋の行方をめぐる話、というのがこのミュージカルの大きな骨子。


このミュージカルの主題は「母親の子離れ(娘離れ)」なのであると思う。それはこのミュージカルのラストがクララとファブリツィオの結婚式で終わることからも明らかである(しかもこのエンディングではクララが障害を抱えていることはまだファブリツィオには打ち明けていない)。 主人公マーガレットが、障害のために結婚など無理だと思っていた娘を一人の大人として認め、保護者としての娘と決別する、そのシーンでこのミュージカルは幕を下ろすのだ。


個人的にはストーリー自体にはあまり感情移入できなかったのだが、このミュージカルの良かった点は3点ある。


1つは音楽。ロイド・ウェーバーなどのキャッチーなミュージカル楽曲と比べるとインパクトに欠けるのだが、聴きこんでいくうちにその楽曲の素晴らしさを実感していくのが、このミュージカルの楽曲の数々。現代音楽っぽい響きを多用しているので、なかなか慣れない人も多いかもしれないが、繊細な美しさを表現できていると思う。


良かった点の2つ目は、舞台美術と演出。特に暗転をせず、照明と小道具を駆使することで場面を一変させてしまう舞台演出には感心するばかり。アンサンブルが自然な流れで椅子やテーブルを持ってきてライティングが変わるだけで、フィレンツェの広場から部屋の一室に無理なく変わる、そのスムーズなこと!


良かった点3点目は、キャストが唄歌い揃いであった点。高音域・転調多様の、ソンドハイムばりに歌うのが難しい楽曲を多くのキャストが歌い切った点は素晴らしいの一言。ただ、その分芝居が、、なキャストがいたことも事実ではあるが、このミュージカルの醍醐味は楽曲を楽しむことにあると個人的に思っているので、今回のキャストは正解だと思う。


<主なキャスト>
マーガレット: 島田歌穂
クララ:    新妻聖子
ファブリツィオ:小西遼生
フランカ:   シルビア・グラブ
ナッカレリ:  鈴木綜馬


音 楽 : ★★★★☆
脚 本 : ★☆☆☆☆
演 出 : ★★★★☆
役 者 : ★★★☆☆
舞台/衣装:★★★★☆
満足度 : ★★★☆☆


この作品は、フジテレビ主催。ホリプロに続きフジテレビもミュージカルの主催に乗り出しましたが、今までの作品の出来を見る限り、成功していると言えると思います。(ホリプロ主催のミュージカルは、自分の事務所所属のタレント起用が成功していないこともあり、イマイチ感が抜けないと個人的に思っているのですが)