グランプリファイナル


男子シングルは、演技だけを見るとランビエール、ライザチェックの方がキレ・メリハリがあり、見ごたえのあるプログラムだったように思う。日本期待の高橋大輔だが、点数稼ぎ(点数が1.1倍になる後半にジャンプを集める)の作戦が逆にジャンプ→ジャンプ→ジャンプと、ジャンプを飛ぶためだけのプログラムに見えてしまった点が残念だ。音楽もクラシックのロミオとジュリエットだしなあ。。。もっとアクセントのある強い曲の方がこの演技構成には会っているような気がする。


個人的にはライザチェックの身のこなしが一番良かったかなあ。。。ライザチェックはステップやスピンはレベルが高いけど、ジャンプでの加点がランビエールや高橋より低いので、ジャンプの加点分で点差が出ているような感じだよなあ。もったいない。。。

GPファイナル 真央、追い上げ2位 高橋、V逃す


フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは最終日の15日、当地のパラベラ競技場で全4種目のフリーがあった。


<男子シングル>

男子SP首位の高橋大輔(関大)はフリーで2位となり、計238・94点で2位。日本男子初の優勝はならなかった。高橋も前々回3位、前回2位に続き3年連続のメダル。SP2位のステファン・ランビエル(スイス)が計239・10点で逆転で2年ぶりの優勝。


◇「細かいミスが…」

わずか0・16点差で、メダルの色が銀になった。高橋はSPで0・40点のリードを奪ったが、フリーで元世界王者のランビエルに逆転された。


ランビエルは冒頭のトリプルアクセル(3回転半)でステップアウト、続く4回転トーループは両手をついた。一方、高橋は「体が疲れており、(今月下旬の)全日本選手権に合わせる」と無理しない考えだったが、冒頭の4回転トーループが3回転に終わったため、再度挑んで成功。だが、中盤過ぎの3回転サルコウが2回転になり、「大きなミスはなかったが、細かいミスが出た」と悔やんだ。


技術点に当たる総要素点は高橋がランビエルを1・14点上回ったが、表現力などを示すプログラム構成点は1・70点少ない。高橋は疲労の影響からか、動きに切れが乏しいうえ、平松純子・日本スケート連盟フィギュア部長は「柔らかい横の動きばかりで直線的な動き、高さのある動きがない。演技にメリハリがない」と指摘した。


日本男子初のGPファイナル優勝の好機を逃し「自分自身に情けない」と高橋。だが、ランビエルと大接戦を演じたことに「近づけなかった相手と競り合っているのがうれしい」と自信を深めた。


「完ぺきな演技は最後の試合まで取っておく」。来年3月の世界選手権で、味わえなかった歓喜の瞬間が来ることを信じている。【来住哲司】


女子シングルは浅田真央がフリーでは一位となり、6位から2位に浮上。ただ細かく見るとジャンプが両足着氷だったり、スピンの回転が足りなかったりと、ちょっと惜しい取りこぼしがあった点が残念に思う。しかし、荒川静香のコメントの、技術に関しての正確さはすごいなあ。。。 「応援します」というスタンスに立つ伊藤みどりのコメントとは違い、ライバルの技術を冷静に見極めるスタンスでのコメントのような感じがします。


今大会でビックリしたのがキム・ヨナのジャンプでの加点。2.0や1.6の加点がポンポンとついていくので、基礎点からかなり点数を加えた形で技術点が出るので、ジャンプを失敗しない限りかなりの高得点が狙える。実質は世界一なんだろうなあ。。。

<女子シングル>

女子はショートプログラム(SP)6位の浅田真央(愛知・中京大中京高)がフリーで1位になり、計191・59点で2位となった。前々回優勝、前回2位で3年連続の表彰台。SP4位の中野友加里早大)は計172・96点で5位に下がった。SP首位の金妍児キム・ヨナ、韓国)が計196・83点で2連覇を飾り、カロリナ・コストナー(イタリア)が178・93点で3位。


◇金、成長ぶり示す

前回女王の金妍児はフリー2位だったが、SPの貯金で逃げ切った。3回転ループで転倒したほかはノーミス。3−3回転など三つの連続ジャンプは高さがあり、表現力などを示すプログラム構成点は唯一60点台(60・96点)に乗せた。「自己ベスト(133・70点)に近い点で喜んでいる」。昨季は腰痛に苦しんだが、現在は治ったといい、一層の成長ぶりを見せた。


◇ジャンプ復調、思わず涙

演技が終わった瞬間、浅田真が泣き出した。前日のSPは二つのジャンプ失敗で最下位に沈んだが、この日はほぼノーミス。「ホッとしたし、疲れたし、うれしい。いろいろな思いが詰まっていた」涙だった。


冒頭のトリプルアクセル(3回転半)を降りて「気持ちがだんだん楽になった」。ただ一人、3回転連続ジャンプを二つ入れた。序盤に新導入のフリップ−トーループ、後半に得意のフリップ−ループ。3種類のスピンとスパイラルで、最高難度のレベル4を獲得するなど、自己ベスト(133・13点)に迫る132・55点を出した。


前向きな思考で、前日のショックを引きずらなかった。「(首位と)点差は離れていない」と考え、「今季はSPはダメでフリーはいいので、そうなればいい」と信じた。3回転ルッツは誤った踏み切りとしてこの日も減点されたほか、「表情が硬かった」と、表現力でも反省点はあった。それでも見事な立ち直りに「不安だったジャンプを練習通りできた」と喜んだ。


年齢制限により出場できなかったトリノ五輪と同じ会場。五輪金の荒川静香がSPで使ったショパン作曲「幻想即興曲」のプログラムを演じ切り、「ここで滑れていい思い出になった」。


成績は金妍児に次ぐ2位で昨年と同じだが、今回の方が収穫は大きい。試練を乗り越えて得た自信。17歳の少女が、また一つ大きくなった。【来住哲司】


(1)金妍児(韓国)196・83点(ショートプログラム64・62、フリー132・21)
(2)浅田真央(愛知・中京大中京高)191・59点(59・04、132・55)
(3)コストナー(イタリア)178・93点(59・86、119・07)
(5)中野友加里早大)172・96点(59・78、113・18)


<ペア>
ペアはSP首位のアリョーナ・サブチェンコ、ロビン・ゾルコビー組(ドイツ)が計199・23点で優勝、SP6位の川口悠子アレクサンドル・スミルノフ組(ロシア)は欠場組が出たため5位。


(1)アリョーナ・サブチェンコ、ロビン・ゾルコビー(ドイツ)199・23点(ショートプログラム72・14、フリー127・09)
(2)張丹、張昊(中国)191・20点(71・40、119・80)
(3)〓清、〓健(中国)185・13点(66・68、118・45)
(5)川口悠子スミルノフ(ロシア)161・75点(51・74、110・01)


アイスダンス
アイスダンスは、オリジナルダンス(OD)3位のオクサナ・ドムニナ、マキシム・シャバリン組(ロシア)が計165・57点で優勝した。




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 ◇日本選手のGPファイナル成績◇

 第1回(95〜96年度) 横谷花絵  5位

 第4回(98〜99年度) 村主章枝  5位

 第7回(01〜02年度) 恩田美栄  5位

              本田武史  5位

 第8回(02〜03年度) 荒川静香  4位

              村主章枝  6位

 第9回(03〜04年度) 村主章枝  優勝

              荒川静香  3位

              恩田美栄  5位

第10回(04〜05年度) 荒川静香  2位

              安藤美姫  4位

              恩田美栄  5位

第11回(05〜06年度) 浅田真央  優勝

              中野友加里 3位

              安藤美姫  4位

              高橋大輔  3位

              織田信成  4位

第12回(06〜07年度) 浅田真央  2位

              村主章枝  4位

              安藤美姫  5位

              高橋大輔  2位

              織田信成  3位

第13回(07〜08年度) 浅田真央  2位

              中野友加里 5位

              高橋大輔  2位

毎日新聞 2007年12月17日)