NHK杯

caltec2007-12-01



女子シングルは全体的に低調な演技が続き、レベルが低い争いになったような印象を受けた。最終グループで演技が良かったのは武田奈々くらい。安藤はジャンプに精彩を欠いてフリーで7位、総合4位に(順位点で決める旧採点方法だと6位になる)。うーん、ちょっと見ごたえがない大会だったので、残念。


男子シングルは、皆、大きなミスもなくエレメンツをこなした選手が多かったと思う。SP1位のベルネルと、3位のキャリエールの演技が良かった。

安藤美姫GPファイナル逃す :安藤は4位に終わる コストナーがV


<女子シングル>
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯は第3日の1日、仙台市体育館で女子のフリーがあり、ショートプログラム(SP)5位の武田奈也早大)が計154.83点で3位、SP2位の安藤美姫トヨタ自動車)は3度の転倒でフリー7位と沈み、計145.81点で4位だった。SP首位のカロリナ・コストナー(イタリア)が計164.69点で優勝し、GPシリーズ初制覇。SP11位の浅田舞中京大)は体調不良で欠場した。安藤はGPファイナル(14〜15日、イタリア・トリノ)に進めなかった。


今季からシニアに参戦している武田が、GPシリーズ初の表彰台。ずっとあこがれていたNHK杯での銅メダルに、表彰式でも顔をくしゃくしゃにして喜んだ。この日は、昨シーズンまで苦手にしていたという3回転フリップに挑戦。空中で軸がぶれて尻もちをついてしまったが「逃げずに跳べた」と満足げに振り返った。失敗にもめげず元気いっぱいにジャンプやステップを決めて、得点は99.77。100点越えはならなかったが、合計点で目標としていた150点を突破した。「しっかり練習してレベルアップし、パーフェクトの演技をしたい」。大きな自信を得て、全日本選手権に乗り込む。


カロリナ・コストナー 
とてもうれしい。ベストの演技ではなかったが、ここまでステップ・バイ・ステップでやってきた。GPファイナル出場が今季の夢だった。ジャンプの安定性を高めて、緊張しすぎず楽しみたい。


安藤、3度の転倒でまさかの惨敗…表彰台も逃す

「世界女王」の、まさかの惨敗だった。安藤が3度の転倒で、逆転優勝どころか表彰台も逃した。
冒頭に予定されていた、3回転ルッツ−3回転ループの連続ジャンプ。「フリーでは跳ぶ」と宣言していたが、最初のルッツが回転不足のうえ転倒。続いて、これまでの4回転または3回転のサルコウに代わり、ダブルアクセル(2回転半)−3回転トーループの連続ジャンプに初挑戦する予定だったが、ダブルアクセルのみに回避。その後は3回転フリップで手をつき、3回転ルッツでも回転不足で転倒するなどジャンプミスばかりで、連続ジャンプは全く跳ばなかった。直前の6分間練習でジャンプが不調で、ニコライ・モロゾフコーチからいろいろなジャンプの組み合わせの指示を受けたが「気持ちが整理出来ず、全く耳に入らなかった」という。


今季からのルール改正でジャンプを跳ぶ際のエッジを厳格に審査するようになったため、踏み切りの矯正に取り組んでいたところ、ジャンプが崩れてしまった。右肩負傷などの出遅れにより、フリーのプログラムは「完成度は半分以下」。それが如実に表れてしまった。


GPファイナルの開催地は、15位と惨敗したトリノ五輪の会場だったパラベラ競技場。そこに行ってて五輪の雪辱を期す目標も、ついえてしまった。今月下旬の全日本選手権に向けて「ファイナルに行けなくて残念だけど、全日本選手権までに休憩が入るので気持ちの整理は出来る」と安藤。ショックを押し隠し、自らに言い聞かせた。


浅田舞が欠場 

日本スケート連盟は1日、NHK杯に出場していた浅田舞中京大)の女子フリー欠場を発表した。数日前から体調を崩し、この日は熱が39度まで上がったため大事を取ったという。前日のSPは最下位の11位だった。


<男子シングル>
男子のSPは、世界選手権2位の高橋大輔(関大)が77.89点で2位につけた。同4位のトマシュ・ベルネルチェコ)が78.15点で首位に立ち、南里康晴中村学園大)は67.55点で4位、中庭健介(パピオク)は6.70点で7位。


男子の南里がSP4位と健闘。3−3回転連続など三つのジャンプをすべて決め、3種類のスピンはやや回転速度が乏しかったが、いずれも最高のレベル4に認定された。「自分の力を出し切っていい演技が出来た」。05年ジュニアGPファイナルで2位に輝いたが、シニアのGPシリーズは05年ロシア杯の8位が最高成績で、今季のスケートアメリカは10位だった。巻き返しを図る22歳の目に、初の表彰台が見えてきた。


中庭健介 
トリプルアクセルの着氷で乱れたが踏ん張り、SP7位)11月のフランス杯のSPでは全部のジャンプで手をついたので、今回は正直ホッとした。アクセルは自信があったのに、朝の練習で急に跳べなくなった。
 

トマシュ・ベルネル 
気持ちよく楽しんで滑れた。(6位に終わった)フランス杯後に特に修正したことはないが、結果を分析し、そこから学ぶことがあった。練習の成果を出せたと思う。


高橋、失敗も収穫…ストレートラインステップでレベル3

滑り終えた高橋は、どこか浮かない表情だった。予想外の大きな失敗があったからだ。軽快なヒップホップ調の「白鳥の湖」に乗って、冒頭の3回転フリップ−3回転トーループはピタリと決めた。だが次のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)。空中で足がほどけてバランスを崩し、着氷で左手を付いた。最後のシットスピンでも、危うく尻餅をつきかけるミス。「うまく見せようと意気込みすぎて、空回りした」。


一方で収穫も。切れ味のいいエッジワークで魅せるストレートラインステップは、高橋の武器だが、GPシリーズ第1戦・スケートアメリカではレベル1と低い評価に終わった。その悔しさをバネに、より正確にステップを刻むことに時間を費やした。この日はレベル3。「すごく乗れた。出来には満足」と納得顔だった。


しかし、前回覇者としては、ここで満足してはいられない。1位のベルネルはステップでレベル4が2つ。スピンでも3つ中2つで最高評価。スピンでレベル4を1つもらうのがやっとだった高橋に比べ、調子がいい。「フリーは攻めていきたい」と高橋。完ぺきな滑りで、世界選手権銀メダルの意地を見せたい。


アイスダンス
アイスダンスのフリーはオリジナルダンス(OD)まで10位のキャシー・リードクリス・リード組(川越ク)はフリーで7位に入り、計143.85点で総合8位に上がった。ODまで首位のイザベル・デロベル、オリビエ・シェーンフェルダー組(フランス)が計197.54点で逃げ切り、フランス杯に続きGPシリーズ今季2勝目を挙げた。最終日の2日は男子のフリーが行われる。


父が米国人、母が日本人のリード姉妹組がODまでの最下位(10位)から巻き返し、総合8位に。9種類の要素のうち7種類で最高のレベル4を獲得し、粗削りながらスケールの大きさを感じさせる演技。姉のキャシーは「すべてを出し切った」と満足感を漂わせた。弟のクリスは「来年の4大陸選手権、世界選手権でいい演技をしたい。2010年のバンクーバー五輪に向けてもっと頑張りたい」。20歳と18歳の若きコンビに対し、伊東秀仁・日本スケート連盟フィギュア強化部長は「練習していけばどんどん伸びていく」と、将来性に大きな期待を寄せた。


★GPファイナルにコストナーら進出 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(14〜15日、イタリア・トリノ)女子の進出者6人が1日、確定した。NHK杯の結果により、カロリナ・コストナー(イタリア)とキャロライン・ザン(米国)が新たに出場を決めた。日本勢は浅田真央(愛知・中京大中京高)、中野友加里早大)が進出を決めている。


毎日新聞