NHK杯

NHK杯 高橋、逆転で2連覇 ファイナルに進出−−男子


フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯は最終日の2日、仙台市体育館で男子フリーがあり、ショートプログラム(SP)2位の高橋大輔(関大)はフリー1位で計234・22点をマークし、逆転で2連覇を飾った。10月のGPシリーズ第1戦、スケートアメリカに続く優勝で、GP通算4勝目を挙げた。合計得点とフリーの156・33点は今季GPシリーズで男子最高得点。高橋はGPファイナル(14〜15日、イタリア・トリノ)に3年連続出場を決めた。


SP首位のトマシュ・ベルネルチェコ)は2位。SP7位の中庭健介(パピオク)は8位、SP4位の南里康晴中村学園大)は10位とそれぞれ順位を下げた。表彰式後、エキシビションが行われ、高橋や女子3位の武田奈也早大)らが華麗な滑りを披露した。


南里康晴

フリーはジャンプのミスから自滅していく悪いところが出た。全日本選手権に向け、ジャンプを調整していきたい。


◇トラブルに苦笑い

3年ぶりに出場した中庭は前回と同じ8位に終わった。演技直前の練習で、右足スケート靴のかかと部分のネジが壊れ、エッジが靴から外れてしまうアクシデント。応急処置を施して滑り切ったが、「滑走が6番目じゃなかったら、出られなかったかも」と苦笑い。「こういうことも想定しなければならないと、思い知らされました」。経験豊富な26歳は、前向きにとらえていた。


◇完成度の高さ光る

銀メダルのベルネルはGPシリーズ初の表彰台。「ジャンプに改善の余地はあるが、気持ちよく滑れた」と大喜びした。フリーでは、映画「グリーンデスティニー」のテーマ曲に乗り、勇壮に舞った。冒頭の4回転トーループを決め、終盤のスピンでもレベル4を獲得。プログラムの完成度の高さを見せつけた。


◇転倒後に真価発揮−−無理せず、今季世界最高点

完ぺきな演技ではなかった。冒頭の4回転トーループで転倒。3度跳べる連続ジャンプは二つだけ。だが、それでも今季世界最高得点を出すところに、高橋の成長が見て取れる。


転倒から始まった演技だったが、序盤にトリプルアクセル(3回転半)を成功させ、中盤にはトリプルアクセル−2回転トーループ−2回転ループの3連続ジャンプを決めるなど、その後は大きなミスはなし。技術点に当たる総要素点は唯一80点台(81・33点)を挙げた。最後の連続ジャンプは後半の3回転ルッツにつける予定だったが、「ルッツを降りた時に(タイミングが合わず)やばいと思った」と無理をせず、その冷静さも結果的に奏功した。


大会前に「4回転を2本入れる」と宣言していたが、朝の練習後にニコライ・モロゾフコーチは「1本だけ」と指示。今月のGPファイナル、全日本選手権に向けて体力を温存するためだ。「内容で納得できる優勝ではないが、失敗しても気持ちを切り替え、まとめることができるようになった」と高橋。一つのミスから崩れ、「ガラスの心臓」と呼ばれた以前とは、別人のようなたくましさだ。


4回転失敗に加え、後半のフライング連続スピンが回転不足でレベル2になるなど課題はある。それでも、GPファイナル進出者6人の中でトップの成績。3年連続出場となる同大会に向けて「一昨年3位、昨年2位と来ているので後は1位しかない」。日本男子初の偉業達成を、固く誓った。


==============

◇フィギュアGPシリーズでの日本選手優勝◇

年    大会       男子   女子

2001 NHK杯     本田武史

2002 スケートカナダ  本田武史

     ボフロスト杯        恩田美栄

     NHK杯          恩田美栄

2003 NHK杯          村主章枝

     GPファイナル       村主章枝

2004 NHK杯          荒川静香

2005 スケートアメリカ 高橋大輔

     フランス杯         浅田真央

     NHK杯     織田信成 中野友加里

     GPファイナル       浅田真央

2006 スケートアメリカ 織田信成 安藤美姫

     NHK杯     高橋大輔 浅田真央

2007 スケートアメリカ 高橋大輔

     スケートカナダ       浅田真央

     フランス杯         浅田真央

     NHK杯     高橋大輔

 ※GPシリーズは1995年からのチャンピオンズシリーズを前身にスタート


毎日新聞