森村泰昌 −美の教室、清聴せよ 

caltec2007-09-08



横浜美術館にて「森村泰昌 −美の教室、清聴せよ」展を体験する。いや、とにかくユニークな展覧会で、終わりにには試験まであるのだ(何故か満点でした)


どれくらいユニークなのかというと、横浜美術館のHPではこう説明されている。

本展では美術館を教室に変え、フェルメールセザンヌゴッホゴヤといった西洋美術史上の名画に扮する「美術史シリーズ」の作品に焦点をあてて、初期から現在にいたる約80点を、まるで学校で授業を行っているかのように紹介します。本展は、ホームルームにはじまり、1時間目から6時間目まで、モリムラ先生による授業(無料音声ガイド)として展開します。さまざまな「美=Bi [bi:] 」について学んだ後は、最後のセクション「放課後:ミシマ・ルーム」で、一転、三島由紀夫と三島の美学を具現化したアポロンの姿になった森村泰昌に出会います。そこで私たちは、次代へ受け継がれるべき日本の美術について、森村からのメッセージを強く心に刻み込まれることでしょう。


(中略)


「美の教室」での1日の授業は、美術の歴史を学ぶことができるだけでなく、森村作品における〈自画像〉〈ものまね〉〈笑い〉といったテーマに触れ、美術や教育のあり方について、あらためて考える機会となるでしょう。


つまり、美術館の各展示スペース(各小部屋)を一つの教室と見立て、授業を受けていく形になるのだ。
今回の展覧会の時間割は下記の通り。


ホームルーム
1時間目:フェルメール・ルーム [絵画の国のアリス]
2時間目:ゴッホ・ルーム [釘つき帽子の意味]
3時間目:レンブラント・ルーム [負け犬の価値]
4時間目:モナリザ・ルーム[モナリザモナリザの、そのまたモナリザ]
5時間目:フリーダ・ルーム [眉とひげ]
6時間目:ゴヤ・ルーム [「笑い」を搭載したミサイルの話]
放課後:ミシマ・ルーム


彼の「美術史シリーズ」の作品の特徴は、基本的に名画の世界のセットを作り、その絵画の登場人物に「なりきった」様を写真で取り、その後CG合成や、プリント後のペインティングなどで、独特の世界観を構築することにある。


今回の展覧会では、そのアーティスト森村の世界を体現できる展示内容になっている。実際のセットが置かれていたり、ゴッホ作品の帽子とパイプが置かれていたり、顔を出してモナリザになれてみたり。。。と遊び心満載の展示内容で、森村ワールドに親しむ=絵画を新たな視点で捉え直し楽しむ、ということが出来る作りになっているのだ。


作品内容の充実度としては、同美術館で過去に開催された『「森村泰昌 美に至る病―女優になった私」』(1996年)の方が充実度があった気がするが、今回はコンセプト勝ちというか、企画の斬新さに完全にやられたかんじだ。


企画力  :★★★★★
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆


台風一過の今日は、33度もあったらしい。暑い暑い。