スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション

caltec2007-08-13



国立新美術館にて「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション」を観る。常々建築の展覧会とファッションの展覧会の客層がかぶるよなあ、と思っていたのだが、本展覧会は、まさにその日頃の考えの正しさを立証してくるような企画で、1980年代以降のファッションと建築の親和性を主にテーマとして扱った内容のものだ。


国立新美術館のサイトによる本展覧会の概要は以下の通りだ。

建築とファッションは、人類の誕生以来、人間の身体を守るシェルターとしての本質を共有しています。また両者は、社会的・個人的あるいは文化的なアイデンティティーの表出としての役割も担ってきました。そういった共通点があるにもかかわらず、建築とファッションは、用途やスケール、素材が異なることから、これまでほとんど同じ俎上に載せて語られることはありませんでした。


しかし、1980年代以降、両者は急激に接近し、お互いを刺激しあっているように見受けられます。それは、この頃から両分野において、それ以前のものとは完全に異なる新しい形態をとる作品が、つぎつぎと誕生したことにも見てとれます。最近の傾向として、コンピュータをはじめとするさまざまな技術の革新が自由な造形を可能とし、表面と構造の関係に大きな変化をもたらしたことは特筆すべきことでしょう。ファッションデザイナーたちは、布を用いて、構築的で複雑な衣服を作り始め、また建築の分野では、仕立ての技術にも通ずる、より複雑なフォルムを生み出しています。大変興味深いことに両者は、「折る」、「プリーツをつける」、「ドレープをつける」、「包む」、「吊るす」、「織る」、「プリントする」などといった技法を共有し始めているように思えるのです。 


このような視点から、本展は現代の建築とファッションを併置し、それらに共通する特徴を、思想、表面、構成、テクニックなどを切り口に、視覚的に検証するという、いままでにない試みを行います。このたびは、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)が企画し同館で開催した展覧会を、国立新美術館が日本向けに充実させるもので、国内外の作品約230点によって展開します。


1980年代以降になると、新素材の導入や、伝統からの脱却、新たな哲学(コンセプト)の導入などが、ファッション・建築の両世界において顕著になってきたように個人的に思う。そしてその潮流の中で日本人デザイナー・建築家が果たしている役割もとても大きいように思う。本展覧会を観て、その考えを強くした。


個人的には、建築・ファッション、それぞれに注力して観てしまうと、やはり物足りない部分も多かったのだが、その両者の共通性や親和性を再認識するには、好企画だったと思う。そして、ファッション界における三宅一生・川久保怜・山本耀司の位置付けは大きいんだなあとも再認識した。若手ファッションデザイナーだと、アレクサンダー・マックイーン、フセイン・チャラヤンヴィクター&ロルフなど、個人的に好んで服を着ているデザイナー達の作品も展示してあり、彼らのショーのプレゼン手法や服作りの根底に流れている思想、クチュール的なテクニックに改めて関心した。


あとは、会場の半数を占めていたであろう20代の学生と思しき人たちの、各人のファッションや髪型を観るのも面白かった。


企画力  :★★★★★
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆