アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌
東京国立近代美術館にて『アンリ・カルティエ=ブレッソン』を観る。「知られざる全貌」と副題されているとおり、彼の作品が網羅的に集められた見ごたえのある展覧会となっていた。
東京国立近代美術館のサイトで、本展覧会を次のように紹介している。
「ヨーロッパ」「アメリカ」「インド」「中国」「ソヴィエト」など、取材した国や地域ごとの章に加えて、「ポートレイト」「風景」といったジャンルによる章、またそうした枠組みをとりはらってよく知られた代表作だけを集めた「クラシック」の章など、この展覧会は、多角的な視点からアンリ・カルティエ=ブレッソンの仕事の全貌をたどります。
そこで浮かび上がってくるのは、眼の前の世界が完璧な調和をみせる一瞬を捕獲する妥協なき芸術家としてのまなざしや、ガンジー暗殺や中国共産党政権の成立など、適確な時と場所にいあわせて歴史の分岐点を目撃するというジャーナリストとしてのすぐれた資質です。
ここに書かれているように歴史的な瞬間が記録された写真に衝撃を受けたりもしたが、それ以上に印象に残ったのが、インド・アフリカ・中国の写真に観られた「絵画的な構成」の美しさだ。若いときに絵画を学んだ、という経歴故か、かれの作風は報道写真のような生々しさというより、劇的なフォトジェニックな構成を特徴としているように思えた。特にインドと中国の写真の構図は個人的に好きだ。(思わず、写真集を衝動買い)
最終日に訪れたためか、人、人、人の列で、作品を鑑賞できたかと問われると微妙な点も残るのだが、それでもこの展覧会の全作品を観るのに2時間半を費やした。映像も観たとすると、もっと時間が必要だったのだろうなあ。。
企画力 :★★★★☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度 :★★★☆☆