マリーアントワネット

caltec2007-07-30



ソフィア・コッポラによる話題の映画「マリーアントワネット」を観る。感想はと言えば、監督の好みの画風をコラージュした感性に訴える作品だなあ、ということ。はっきり言って、ストーリー展開には山も谷もなく新鮮味・面白みに欠けます。フランス革命やマリーアントワネットの世界を楽しむなら、ベルサイユのバラの方が全然面白い。


ただ、その反面、「映画の良さ」を味わうには、この作品はとてもいい作品だよなあと思うのもまた事実。作品全体を通じての映像のトーン(色調・重さ)や時間の流れ(スピード感)が統一されていないのだけれど、荒削りながらも、監督の美学は貫かれているように思えたので、ある世界観に浸れてよかった。


まず、映像で良いなと思ったのは①エピソードの途中途中で挟まれる美しい自然の映像。そして②演じているのではなく、役者の素が映し出されているように見える、ビデオクリップやドキュメンタリー的な雰囲気の映像、最後に③美しい衣装。 映像の持つ色々な良い要素が、パッチワークのように組み合わされて一つの作品を形成しているように僕には思えた。あとは、音楽も良かったと思う。


深いことを考えず、作品の持つ文学性や哲学性に浸ることもなく、ただただソフィア・コッポラ流の映像の持つ素晴らしさを体感するには最適の作品なのかなあ、と思う。


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