世界選手権

男子SP 高橋3位、織田は14位出遅れ


◇ペア井上組8位

フィギュアスケートの世界選手権は第2日の21日、東京体育館で男子のショートプログラム(SP)が行われ、今季グランプリ(GP)ファイナル2位の高橋大輔(関大)は74・51点で3位につけた。GPファイナル優勝のブライアン・ジュベール(フランス)が83・64点で首位。トリノ五輪銅のジェフリー・バトル(カナダ)が2位、3連覇を狙うステファン・ランビエル(スイス)は6位で、前回4位の織田信成(関大)はトリプルアクセル(3回転半)の失敗が響いて14位に沈んだ。ペアのフリーはSP首位の申雪、趙宏博組(中国)が計203・50点で4年ぶり3度目の優勝。同6位の井上怜奈、ジョン・ボルドウィン組(米国)は8位、同4位の川口悠子アレクサンドル・スミルノフ組(ロシア)は9位に終わった。第3日の22日は、男子のフリーとアイスダンスオリジナルダンス(OD)が行われる。


◇井上、引退を表明

前回4位の井上、ボルドウィン組はスロートリプルアクセルなどで2度の転倒を犯すなど4種類のジャンプをすべて失敗。SP6位から順位を下げて8位に終わった。演技後、井上は今大会限りで引退する意向を表明。競技生活最後になった演技について「がっかりしたというのが正直な気持ち。でも、20年以上競技生活をしていれば、いいこともあれば悪いこともある」と、悔しさを押し殺して振り返った。


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▽ペア最終成績

(1)申雪、趙宏博(中国)203・50点(SP71・07、自由132・43)
(2)〓清、〓健(中国)188・46(66・75、121・71)
(3)サブチェンコ、ショルコビー(ドイツ)187・39(67・65、119・74)
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◇初の大失敗「何で」

前回4位でメダル候補の一人だった織田が、まさかのSP14位。冒頭のトリプルアクセルが半回転だけになる大失敗を犯し、3回転フリップも着氷でバランスを大きく崩した。「体調はよく、ジャンプの調子もよかった。何で失敗したのかな」。無理に笑顔で振り返ったが、両目は潤んで視線は定まらない。これほどの大失敗は初めてだけに、ショックの大きさをうかがわせた。


◇重圧「出来は最低」

満員の観客を、大いにわかせた。順位も3位の好位置。だが、高橋本来の演技ではなかった。引き揚げてくると開口一番、「今シーズン最低の出来」と顔をゆがめた。


冒頭、3回転のフリップとトーループの連続ジャンプは一つ目の着氷でバランスを崩し、強引に次を跳んだものの回転不足で着氷も乱れた。その後は目立ったミスはなかったものの、得意のステップはターンでエッジに深く乗れないまま正確さを欠き、二つとも最高のレベル4に届かずにレベル3止まり。自己ベスト(84・44点)に遠く及ばぬ74・51点にとどまった。


「緊張して、久しぶりに足ががくがくした。ステップ、スピンとも(最初のジャンプ失敗の)焦りが残ってしまった」と打ち明け、「これが世界選手権かな……」とつぶやいた。15位と惨敗した前々回大会やメダルを逃したトリノ五輪など、大舞台での苦い経験を踏まえて今季は精神面で成長ぶりを見せてきたが、この日は大舞台の重圧を受けた格好だ。


フリーでは開き直ることができるか。日本男子選手として史上3人目の表彰台に向け、真価が問われる。


【来住哲司】

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▽男子SP

(1)ブライアン・ジュベール(フランス)83・64点
(2)バトル(カナダ)79・90
(3)高橋大輔(関大)74・51
(14)織田信成(関大)67・17

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毎日新聞 2007年3月22日 東京朝刊)

川口キラリ、理想の相手見つけて9位


21日行われたフィギュアスケート世界選手権のペアで、昨春結成したばかりの川口、スミルノフ組(ロシア)はSP4位からフリーで大幅に順位を下げて総合9位。だが国際大会出場は2試合目ながら存在感を示した。


フリーの冒頭、シークエンスを挟んだ3回転トーループの連続ジャンプに挑んだが、最初の着氷で2人ともバランスを崩した。その後、軽くステップを踏んで3回転トーループを成功。しかし、これが連続ジャンプとみなされず、同じジャンプを2度跳んだとして二つ目は加点ゼロ。さらに定められた二つのジャンプを跳んだことになり、ダブルアクセル(2回転半)も加点されなかった。


川口は「残念だけど、これが正当な順位と思う。作戦負け」と振り返った。


25歳の川口は99年にシングルからペアに転向し、ロシア人のマルクンツォフと組んだ01年世界ジュニア選手権で銀メダル。しかし、03年世界選手権限りでペアを解消し、その後に米国人と組んだが長続きせず、相手を探していた。


ロシア・サンクトペテルブルクの大学に通う川口は昨春、22歳のスミルノフとコンビ結成。昨年11月のロシア杯は3位に入る健闘を見せた。4年ぶりの世界選手権出場となる川口は「すてきなパートナーが見つかったことを日本でアピールしたかった」という。


五輪出場も視野に入れ、国籍変更も考えている川口。ようやく理想の相手を探し当て「(世界初の)4回転サルコウを跳ぶので、待っていてください」と高らかに宣言した。


【来住哲司】(毎日新聞 2007年3月22日 東京夕刊)