グランプリシリーズ ファイナル

浅田真央金妍児 今後も続くライバル関係


サンクトペテルブルク村田隆和】


フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル女子は、韓国の金妍児が初優勝を遂げた。ジュニアの世界選手権(3月、リュブリャナ)につづき、浅田真央(愛知・中京大中高)を破っての優勝だった。浅田と金は同じ90年生まれの16歳。162センチという身長も、手足の長い体形もよく似た2人。ジャンプを得意とするところも共通している。世界のトップを目指すライバル関係は今後も続きそうだ。


フリーのプログラムの構成内容を比較してみると、両者が高難度のジャンプを中心に得点を重ねるタイプであることがよくわかる。


浅田は、序盤にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)のほか、ダブルアクセル(2回転半)−3回転など二つの連続ジャンプを用意する。これらの基礎点の合計は24.80点。一方、金も序盤に2回転半−3回転など3つのジャンプを跳ぶが、こちらの基礎点の合計は22.80点。


浅田が後半に3回転ルッツ−2回転ループ−2回転ループを織り込めば、金も3回転ルッツ−2回転トーループ−2回転ループを入れ、ボーナスポイント(後半のジャンプに認められる評価)を稼ぐという具合。


「自分もミスをしたが、(浅田)真央は大きなミスをした」と金が話したように、ジャンプの成否が今回の勝敗を分けた。ただ、トリプルアクセルなど難度の面では、まだ浅田の方が上と見ていいだろう。しかし、手足の伸びやかさや細かな表現力は、金の評価の方が高い。今後、浅田は表現力を、金はジャンプの質を上げることが課題だ。


浅田に懸念されるのは、ジュニアの世界選手権、そしてシニア初対決となったGPファイナルでも敗れ、金に苦手意識が芽生えないかということ。浅田は「金のことは気にしなかった」と話したが、トリプルアクセルのミスを引きずり、演技全体が崩れてしまったのは、技術面よりも心理的な要因が大きい。金との対戦に苦手意識が生まれるようだと、これからも苦戦が予想される。


毎日新聞 2006年12月18日 8時48分(最終更新時間 12月18日 10時18分))