スケートカナダ

caltec2006-11-06



村主本人が「一大プロジェクト」と語った今回のフリープログラムにはいくつかの変更点がある。


①振付師をローリー・ニコルからズーリンに変更したこと
②ボーカル入りの楽曲を使用したこと


実際のフリープログラムを観る&このコラムを読むまでは①が「一大プロジェクト」の大きな要因だと思っていたが、実は②も大きな決断だったことが分かった。個人的な感想としては、これまでローリーと一緒に作り上げてきた世界観の方が彼女自身には合っている気がした。


昨年のフリーのラフマニノフインパクトが薄かったが、それ以外のここ数年のプログラム(「黒く塗れ」「ピンクパンサー」「カルメン」)は、新たな村主像を作り上げていくことに大いに貢献していたように思う。


あとは、音楽は、正直言って「どうよ?」と思った。なんか緊迫感がないというか。。。

村主、減点覚悟 禁止の「歌詞ある曲」を演技に採用


フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダ。演じ終えた直後、村主は心からの笑みを見せた。「3割から4割ぐらい」。自己採点は厳しい。結果も今季初戦は2位に終わった。それでも笑顔になれたのは自分の思いを貫いたからだ。


アイスダンス以外では歌詞が入っている曲は禁止されている。その“壁”にあえて挑戦した。声やコーラスを楽器のひとつとして取り入れることに特徴のある英国の作曲家カール・ジェンキンスに作曲と編曲を依頼した。


ある意味で賭けだった。審判員が歌詞と判断すれば減点される。当然、コーチには反対された。「なぜそんなリスクのあることをやるのかって。でもどうしてもやりたかった。戦いましたよ」。いたずらっぽく笑う。


体調は万全ではなかった。10月中旬に左太ももは肉離れ寸前の状態になった。でも新しい挑戦を決めた初戦を外すわけにはいかなかった。「変化が求められていると思う。それに応えたい。変わるきっかけになれば」。滑り終えてスクリーンに得点の内訳が映し出される。減点は「0」。順位は2位だったが「賭け」には勝った。


(共同 2006年11月05日16時27分)

選曲で冒険、村主章枝の挑戦続く


村主が「一大プロジェクト」という言葉で表現する自由は、ほとんど冒険だった。「減点されてませんか。ああ、よかった……」


シングルでは、ボーカル入りの曲が使えないという規則がある。そこで、声を歌詞ではなく、楽器のように採り入れた、ぎりぎりの曲を選んだ。いやし系の作曲家カール・ジェンキンス氏が手がける曲のメドレー。幻想的なリズムと旋律に乗り、「シンデレラ」を演じた。


「世の中にたくさん音楽があるのに、どうしてボーカル入りの曲がいけないのでしょう」


イデアは、トリノ五輪前から温めていた。ロンドンでジェンキンス氏に会い、編曲と終盤部分のオリジナル曲を依頼した。全体ができあがったのが10月初めだった。


しかも、昨季末にあった五輪、世界選手権という連戦の疲れに今になって襲われた。体調不良で「出場をどうしようか考えたほど」。この2週間、演技を深める余裕すらない。満足できる出来にほど遠いが、根っからの挑戦好きで、初めてパンツスタイルで踊ったのも自分だ。その性分を発揮して何とかまとめた。


振り付けも、どこかユーモラス。「何年もスケート界にいて変化を求める声もある。それに応えたい」。競技への情熱がほとばしる、堂々の2位だった。


朝日新聞 2006年11月06日10時26分)