きょうのできごと

caltec2005-06-22



映画「きょうのできごと」を観る。映画を観る前に小説を読んでいて、その何気ない日常を切り取ったような小説の世界を知っていただけに、それがどう映像されているのだろう?と期待しながら観た。


小説を読んだときも、作品の世界観が違和感なくすんなりと自分の中に入ってきたのだが、今回の映画に関しても同様で、なんというか“作られた”物語ではなく、僕達の日常の生活の一コマがそこにある、、といった印象を受けた。そう感じる原因は、交わされる台詞のやりとりや、その台詞に載せられる言葉選びが割と身近なのだからだと思う。あとは、演じている役者も自然に自分の言葉として演じているから、だろうか・・・(そこまでは僕にはわからないが)


ラスト近くに、人がいない夜明けの街が映し出されるが、こうしたシーンを挿入する感覚がとても好きだ。


夜明け前の世界。
その静寂な世界には人が誰もおらず、目の前に広がる世界を、空間を、全部独り占めしているような気分になる。
それはとても幸せで贅沢なものでもあるし、でも、逆にちょっぴり寂しくもあり虚しくもある幸福感でもある。
これから朝が来ますよ、躍動的な一日が来ますよ、という出だしのほんの少し前のエアーポケット。
これからの活気あふれる生活がわかるだけに、その生活とのギャップをこの目の前に広がる空間に感じ、なんともいえない心地よさを味わう。。。


なんて感じるのは僕だけかなあ? とにかくこの映画の夜明け前のシーンを見たときに、こうした感情がこみ上げてきて、ああ、近しいなあ、と感じた作品だった。
観る人によっては「なんだ、どうってことないエピソードじゃん」とつまらなく感じたりもするんだろうけど。妻夫木の関西弁は少し変だった。。。