トップランナー

caltec2005-05-19



NHK教育、トップランナーを見る。今日のゲストはミュージカル界のプリンスこと、井上芳雄。芸大在学時代に東宝のミュージカル「エリザベート」の皇太子ルドルフ役で鮮烈なデビューを飾り、確かな歌唱力と、その王子様的ルックスと相まって多くのミュージカルファンの女性の心を鷲づかみにしたミュージカル界期待の、次世代スターだ。


エリザベート」への出演のきっかけは、たまたま芸大の授業に講師として来ていた演出家小池修一郎に「オーディションがあるので受けなさい」と進められたことだという。そして受けたオーディションで見事ルドルフ役を射止め、あれよあれよという間にミュージカル界の人気者となってしまった、というラッキーボーイでもある。


そんな井上君のここ数年の舞台を見る度に、(彼の特徴であった)王子様キャラを脱皮し、逞しい大人の男性へと変貌を遂げているような印象を受けていたのだが、今日の番組での彼の発言からその理由がわかった。彼の演技の転機は蜷川幸雄演出の「ハムレット」。得意の歌ではなく芝居に真っ向から挑んだこの舞台で、かれは表現者としての自分に開眼する。


「自分に向いている役」と「自分があまりやらないようなハードルの高い役(失敗したらイメージダウンにすらなるような役)」のオファーがある場合、今までなら前者を選んでいたのが、蜷川作品出演を機に、後者を選ぶようになったのだと彼は言う。作品出演を通じて、今までとは違う自分に出会いたい、違う色の自分を出したい、役者として一回りも二回りも成長したいというのがその理由だと思う。番組中のVTRで蜷川はこのようなことを言っている。「彼(井上)を汚してみたかった。(中略)王子様的な綺麗なイメージを崩すことで、陰のあるカッコいい大人の男になる」。
その蜷川の言葉通り、最近は、王子様キャラの役に井上の名前が上がることは少なくなってきた。一人前の大人の男となるべく仕事を慎重に選んでいるのだと思う。これからどんな井上芳雄を舞台上で観ることができるのか、ますます楽しみになってきた。


たーだ、コンサートやCDで彼が好んで歌う歌のレパートリーが女性の歌ばかりなのが何処となく気にはなっているのですが、、、、