Classic: ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2005 〜ベートーヴェンと仲間たち〜

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2005 〜ベートーヴェンと仲間たち〜」を聴きに、東京国際フォーラムへ行く。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」とは何ぞや??という疑問がこのネーミングから浮かぶが、これは「ラ・フォル・ジュルネ」の日本版。そして「ラ・フォル・ジュルネ」とはフランス北西部の港町ナントで、1995年に誕生したクラシック音楽祭のこと。
クラシック音楽の常識を覆すユニークなコンセプトに貫かれ、「ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日)」のネーミングそのまま、ヨーロッパの数ある音楽祭の中でもっともエキサイティングな展開を見せている、という(HPより)
つまり、簡単に言うと、フランスのナントという街で開催されているユニークな音楽祭が、現地と同じコンセプトで日本で開催される、ということだ。ふむふむ。


この音楽祭の魅力は、ナント言っても豪華な出演陣。
ピアノ:江口玲、伊藤恵、児玉桃、小山実稚恵仲道郁代田部京子
ヴァイオリン:樫本大進、加藤知子、庄司紗矢香諏訪内晶子、徳永二男、矢部達哉渡辺玲子
チェロ:長谷川陽子堤剛、横坂源、趙靜
人気と実力を兼ね備えたこの出演陣が一同に介するというのは、なかなかない機会だ。


そして、第二の魅力として、低料金の設定。1公演あたり1500円〜2000円という、クラシックでは破格の金額。上記実力派アーティストの演奏をこの金額で聴ける機会はめったにない。
さらに、今回はベートーベンプログラムということで、演目はベートーベンの作品が主。当然、演目が重なる公演も多くなる。ベートーベンのバイオリン協奏曲を例に取れば、諏訪内、庄司、渡辺の3人がこの曲を演奏する。同じ演目を選び、各演奏家の個性の聴き比べをすることも可能だ。


この日僕が聞いたのはバイオリン独奏:諏訪内晶子のベートーベン ヴァイオリン協奏曲。彼女の演奏でこの曲を聴くのは今日が2回目。演奏を聴く度に彼女の個性が強くなっていて、大変興味深く演奏を聴けるようになっている。ただ、個人的に現代音楽やスラブ系の音楽を弾くときの彼女の演奏の方が良い気がする。
ブラームス、ベートーベン、などのドイツ系音楽については、彼女の音楽に対する真摯な姿勢から故か骨太な音楽構成に真っ向から取り組んでしまうため、紡ぎ出す音に余裕が感じられず、「音楽」ではなく「音」になってしまうように感じるのだ(楽しく演奏しているように思えない、という意味で)。個人的には彼女の構築力のある演奏は、現代音楽に向いていると思うのだが。。。

まあ、そうは言いつつも、やはり艶やかで繊細なppの表現なんかは彼女独自のもので、その音色を楽しんで帰ったことは言うまでもない。