caltec2004-11-17



仕事から帰り、テレビをつけるとNHKBSでドキュメンタリーをやっていた。取り上げられていたのは、村主章枝。日本の女子フィギュアスケートの第一人者であり、'02、'03の世界選手権2年連続銅メダルの実績を持つ。


昨年の荒川静香の世界選手権優勝(なんと、世界的に大きな大会での初優勝が世界選手権)、ジュニア世界チャンピオンで4回転ジャンパーの安藤美姫の活躍により、スポットライトを浴びる機会が減ったとはいえ、村主が日本を、いや世界を代表するフィギュアスケーターであることには違いない。


「私はどちらかというとジャンプは嫌い。滑っている方が楽しい。」というTV中の彼女の発言にあるように、村主の演技は、ジャンプよりもそのスケーティング(速さ)やステップ、また彼女独特の、芯のしっかりと通った女性らしい繊細さによって評価されているように思う。


ジャンプが全てではない。スケーティングがまず基礎としてあり、その上に、ジャンプもスピンもステップも同等の価値を置いて技術としてある、というのが彼女の考えなのだと思うし、僕もそう思う。今年からフィギュアの採点システムが変わり、ジャンプだけではなく、スケーティング力、振り付け、音楽との調和性など、その他の要素も評価対象として大きく取り上げられている。そんなシステムの中、彼女がどう評価されていくのか、注目していきたいと思う。


以前ほどプロとアマの厳密な境界はなくなってきつつはあるが、まだプロとアマの境界は存在する。TV中で「競技会があることで、スケートのレベルを高めることができるので、競技会に参加することは意味がある」と語っていたが、彼女がアマチュアの競技者としてありつづけるのは、おそらくトリノ五輪までだと思う。彼女はすでに十分な実績があるし、どちらかといえば競技者よりはショー向きのスケータだと思うので、もうプロに転向してもいいくらいだ。何事も本人が納得しないとすまない性分だと思うので、今後も競技者としての生活を楽しみ、よい結果を残し、オリンピックで活躍してくれることを祈りたい。


★ちょっと、気になる★
今年のSP、FRの振り付け、選曲が前年までのイメージと変わっていてびっくりした。昨年のSPでイメチェンの萌芽が見えたが、今年はずいぶんと攻めに転じたな、という印象を受けた。現状を見る限りでは、トリノの代表争いは、荒川、安藤、村主、恩田、太田の5人で繰り広げられると思う。長年かけて振付家ローリー・ニコルと作り上げてきた村主章枝のイメージを守るプログラムではなく、攻めの姿勢で新たにスケートと取り組もうとする、彼女の意気込みを今年の新プログラムに感じた。