カーネーション
不作が多い今クール(2012年1〜3月)のドラマの中では、一番面白いかも?と思えるのが何故かNHKの朝の連続ドラマ『カーネーション』だったりします。その『カーネーション』で3月に入ってから、主役である糸子を演じる女優さんが変わってしまったので、個人的に驚いています。
(特別な事情による配役変更を除き)今までも最後に違う女優さんが出てきたりしていたことはありますが、結構長い期間、別の役者が主役を演じるというのは、ここ数年なかったことでは。。。
ネットで検索すると、この主役交代劇に関する記事も出てますね。
NHK連続テレビ小説『カーネーション』。1月28日の放送では視聴率28%を叩き出したが、その翌週には20%台へと5%も低下してしまった。
そんな同ドラマだが、ファンを戸惑わせているのが、主役交代の報。1月末、NHKは尾野真千子(30)が演じてきた主人公の糸子役を3月3日放送分から、夏木マリ(59)に交代することを発表し、それがさまざまな議論を呼んでいる。
当初16%そこそこだった視聴率を、現在の20%台超にまで押し上げた大きな要因が、尾野の好演といわれるだけに、“いったいなぜ?”の声しきり。
「前作までの『おひさま』や『てっぱん』『ゲゲゲの女房』もそうでしたが、主人公はきれいでさわやかというのが朝ドラの定番だったのに対し、『カーネーション』の糸子は“岸和田の姐御”。その異色の役になりきっている尾野の演技が、視聴者をぐいぐい引っ張ってきたんだと思います」(映画評論家の町山智浩さん)
若手女優の登竜門ともいわれる朝ドラのヒロイン。今回の大役を務めるまでにも、尾野は各所でその実力を示してきた。
中学3年生のときに、映画監督の河瀬直美さんにスカウトされ、カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞した映画『萠の朱雀』で主演デビュー。その演技力が高く評価され、同作でシンガポール国際映画祭主演女優賞を受賞。同じく主演を務めた河瀬監督の『殯の森』が、2007年にカンヌ国際映画祭でグランプリを獲得したことから、一気に注目を浴びるようになった。
「昨年放送されたドラマ『名前をなくした女神』(フジテレビ系)では、気が小さくて話ができないという、糸子とは全く違うタイプの女性を演じていましたから、今回の糸子役で、その演技の幅の広さに驚かされました」(町山さん)
何事にも真っ正面からぶつかり、時には上品とはいえない舌打ちや、暴言も飛び出すのが糸子の役どころ。
「かわいらしく見える糸子が、娘たちや、ほっしゃん。(40)演じる北村達雄にドーンと大胆なことをいったりするというギャップが痛快なんですよね」(主婦・44)
それだけに、今回の交代に疑問の声も挙がっている。NHKでは主演交代を「既定の方針」(NHK広報担当者)と説明しているが、
「尾野さんが、晩年までやるのだとてっきり思ってましたから、何か問題があったのかとつい勘ぐってしまいました」(エッセイストの青木るえかさん)
「私は尾野さんに最後までやってほしかったと思いますね。夏木さんのお芝居のうまさはわかってますが、これだけ支持されているんだから、できれば最後まで尾野さんにチャンスをあげてほしかったなと思います」(前出・町山さん)
一方では、
「糸子のモデルである小篠綾子さん(享年92)は、ファッション業界ではゴッドマザーと呼ばれ、晩年まで豪快に生きた女性。若い尾野が演じるより、実年齢に近い夏木が演じたほうが、ドラマに深みが出るという判断は間違っていない」(ベテランの演出家)
という声もある。今回のキャスト変更、果たして吉と出るのだろうか。
(※女性セブン2012年3月1日号)
NHK朝ドラの主人公・糸子は3月3日放送分から交代となり、夏木マリが演じる。なぜ、尾野真千子は老け役をまっとうできなかったのか。交代をめぐり、賛否両論、さまざまな話題が渦巻いている。作家で五感生活研究所の山下柚実氏によれば、尾野真千子交代の理由は、「篤姫」演じた宮崎あおいと比較するとよくわかるという。以下は、山下氏の視点である。
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NHK連読テレビ小説「カーネーション」。絶好調の時は25%を記録した視聴率も、低下してきたとささやかれる今日この頃。
特に2月に入ってからは、ドラマをめぐって賛否両論の声が飛び交っています。直接の原因は、成長した3人の娘のキャスティングにありそう。
娘役の新山千春、川崎亜沙美、安田美沙子は、主人公・母親役の尾野真千子と同世代。「見ていてあまりにも無理がある」「不自然」といった批判が飛び交っています。
しかし、今年に入ってドラマを観るのをやめた、という人にわけを聞いてみると、どうやらそれだけではないらしい。ちょっと違った、ある理由が浮上してくるのです。
「さわやかな朝に、品のない『オンドリゃー』という罵声や舌打ちは見たくない」、「眉間にシワを寄せ我が強い、無神経なおばちゃん色が濃すぎる」、「役にはまっているのはいいが、女優としての華や透明感が感じられない」等々。
主人公・糸子演じる尾野真千子の演技。その力はドラマ開始直後から絶賛されてきました。青春期〜戦争下と、彼女の演技力がドラマを引っ張ってきたことに反論する人は少ないでしょう。
しかし。ドラマを見続けている視聴者としては、たしかに糸子の中年役はつらい。尾野真千子がそもそも関西出身ということもあって、岸和田弁は超リアル。コテコテの関西のりがあまりに「馴染みすぎている」。それが朝には似合わない、重たすぎる、という声が聞こえてくるのです。
そのせいではないでしょうが、3月3日放送分から主人公・糸子が交代し、59歳の夏木マリが演じることに。なぜ、尾野真千子が老け役をまっとうできないか。その理由をめぐっても、賛否両論、話題が沸騰しています。
ここでちょっと、「篤姫」を思い出してください。数年前、絶大な人気を集めた大河ドラマ「篤姫」。ヒロインを演じた宮崎あおいは、童顔そのもの。年をとる設定は難しいのでは、と思いきや、最後まで自然に演じ切りました。
視聴者も違和感なく、年を重ねた「篤姫」を受け入れ、感情移入しながら見続けることができたのです。尾野真千子と宮崎あおい、いったい何が違うのでしょう。
30代の女優が老け役を演じるために一番必要なこと。それは、「役柄」に入れ込むのではなくて、一歩ひいて、役と自分との間にしっかりとした距離感をとることではないでしょうか。
演じている役と自分との大きな差異を、冷静に測り、確認できればできるほど、リアリティのある年寄りが演じられる。
今回の尾野真千子の場合、関西おばちゃん役がハマリすぎ。「役柄」に没入し一体化しすぎて、むしろフィクション性に欠けているとすれば。老いた母の役を安心して託すことができない理由も、そのあたりに見つかるのかもしれません。
一方では、「今さら主人公を変えるな」、「続投させよ」という声もあがっている交代劇。その話題性が、また視聴率を押し上げるとすれば、NHKの思惑通りなのかもしれませんが。
(2012.02.25 16:00)
さて、ここからは個人的な感想ですが、記事にもあるとおり「尾野演じる糸子と3名の娘は確かに親子ではなく、姉妹にしか見えない」「尾野の演技に老けた感が乏しく、年相応の演技プランが練られていない」と感じる点はありますね。
まわりとのバランスを考えると、夏木マリ演じる糸子の方が、しっくりとくるのは事実なような気はします。だけど、、、今までの演技が好評だっただけに、最後まで主役を全うさせてあげても良かったのになあ、と思うのも事実だったりします。