ローマの休日、その2

caltec2010-09-18



今日は一日街歩きの日。「街の概要を掴むために初日は歩く」という、いつもの旅行プランどおりの一日だったが、ローマの街の見所の多くを回ってしまった一日だったと思う。


【 本日の行程 】

ホテル →→ ボルゲーゼ公園 →ボルゲーゼ美術館→ ピンチョの丘 →→ サンタ・マリア・デル・ポポロ教会 →→ ポポロ広場 →→ 双子教会(サンタ・マリア・イン・モンテサント教会、サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会)→→ スペイン広場 →トレヴィの泉→ 神殿跡→パンテオン→ ナヴォーナ広場(ムーア人の噴水・四大河の噴水、ネプチューンの噴水)→→ サンタ・マリア・デラニマ教会 →→ サンタゴスティーノ教会 →→ サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会 →→ ミネルヴァ広場 →→ サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会 →→ コロンナ広場(マルクス・アウレリウスの記念柱)→→ ホテル


ボルゲーゼ公園
本日のスタートはボルゲーゼ公園から。テルミニ駅そばのホテルからボルゲーゼ公園まで歩くとどれらいかかるのか、少し気になったが、今回のローマ訪問の目的のひとつ、ボルゲーゼ美術館のチケットを取るためにとりあえず、公園まで歩くことにした(インターネットでも予約できるのだが、まあ、それでは味気ないので、敢えて現地に行くことにした)。ホテルからボルゲーゼ公園まで、何度も起伏があることに気付く。ローマは予想以上に起伏がある街で、なるほど7つの丘のある街と言われるのが良くわかった。ボルゲーゼ公園の入り口前にローマ時代と思われる城壁跡が残っていて、城壁をくぐると、そこは広大なボルゲーゼ公園。歴史と共存する街ローマならではの光景かもしれない。
このボルゲーゼ公園で一番印象に残ったのは、松の形。「ローマの松」というタイトルの音楽があったのは、確かレスピーギだったと思うが、下の枝を切り落とし、上の方の枝だけを残すと、、、、熊手のような独特な松の木のシルエットが出来上がる。ボルゲーゼ公園にある松の木の大半がこの形で、なかなかにユニークで面白い光景が広がっているように見えた。


ボルゲーゼ美術館
ボルゲーゼ美術館では、土日のチケットが全て予約で売り切れとのことだったので、火曜日の朝一(9:00)のチケットを予約する。


ピンチョの丘
ボルゲーゼ美術館を後にしてテクテクと歩くこと十数分。ピンチョの丘に着く。ガイドブックによると「眼下にはオベリスクがそびえ、噴水が水を噴く、堂々としたポポロ広場が広がる。目を見上げれば、家々の褐色の屋根の向こうにミケランジェロによるヴァティカンのクーポラがひときわ高い。ローマの壮大さを実感させてくれる場所だ」とあるが、まさにそのとおり、ここからの眺めは格別だ。下から伸びる木に大量の柿の実が成っているのも、なんだか少し不思議な気がした。


サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
実は、ローマに来た目的は大きく分けて3つあり、そのうちのひとつが「カラヴァッジョの作品を観ること」。このサンタ・マリア・デル・ポポロ教会には『聖パオロの改宗』と『聖ピエトロの逆さ磔』の2作品が、対峙して置かれている。美術館で見るのもいいのだが、こうして本来どおり、教会の中で宗教画を観るというのが、実は一番正しい形での鑑賞方法だと個人的には思っているので、こうして教会でカラヴァッジョの作品が観れたことはとても良かったと思う。しかし、正面ではなく、左右の壁に絵が掲げられているので、カラヴァッジョの作品と正面から対峙することはできず、斜めから作品を眺めることになってしまうのが残念だ。光と影の画家、カラヴァッジョ。教会のほの暗い灯りの中でその作品を観ると、臨場感というか、生々しさみたいなものがより一層感じられる気がした。


ポポロ広場
先程ピンチョの丘から見たポポロ広場。実際に目の前で見てみると、オベリスクの下に噴水が置かれ、人々の憩いの場になっていた。なぜかツタンカーメンの扮装をしている大道芸人(らしき人)がいるのだが、これはオベリスクと関連があるからなのかな。。ローマには広場が多いし、そして何より噴水が多いなー、というのがポポロ広場で感じたこと。


双子教会(サンタ・マリア・イン・モンテサント教会、サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会)
ポポロ広場から真っ直ぐ南に伸びるコルソ通りを左右に挟むように、ポポロ広場からコルソ通りが始まる地点にこの双子教会が聳え立っている。シンメトリー好きなイタリア人らしい作りだなと感じたのと、こうした工夫で空間を劇的なものに変える感性みたいなものにも優れているのがイタリア人なのかな、と感じたりもした。


スペイン広場
さて、ローマで一番有名な広場といえば「ローマの休日」でお馴染みであるこのスペイン広場だと思う。ポポロ広場からバブイーノ通りを真っ直ぐに進むこと10分程でスペイン広場に着くのだが、この通りがコンドッティ通りと並んで高級ブランドショップが立ち並ぶショッピング通りであり、caltecも途中何度か寄り道をしながらスペイン広場へと到着した。小さな噴水と、そこから上に伸びる階段上の通りと、その上に立つ教会。目の前にはローマの休日そのものの景色が広がっているのだが、なぜか感動はいまひとつ。階段の端の方に皆腰掛け、ここで休憩をしたり、お喋りをしたり、いろいろな過ごし方をしている。そんな人たちを横目に見ながら、長年の経過のためか少し前方に傾いている石段を登りながら一番上まで上る。結論としては、スペイン広場は上から下を見るより、下から教会を見上げた方が絵になる。まあ、映画でも下からのシーンで撮影されていたので当たり前と言えば当たり前なのだが。。。
スペイン広場から真っ直ぐに伸びるコンドッティ通りもショッピング好きにはたまらない通りで、バブイーノ通りと、コンドッティ通りで、合わせて3件、旅行前から「買いたい」と考えていたものを目出度くゲットしました。買った品々は、後で取りに来ることを店員さんに伝えて、お店に置いておいてもらいました(お店によっては「ホテルまで届けますよ」というところもあったのですが、まあ今回は経済的なホテルに泊まっているので、なかなかお願いできなかったのが実情ですが)何を買ったかは後ほどお知らせいたします。


トレヴィの泉
スペイン広場近くのオッテロでパスタを食べてお腹を満たしたとは、ナヴォーナ広場の噴水を目指して一路南西へと進路を変える。人の流れに沿って、狭い道を前に前に進んで行くと、、、そこにはトレヴィの泉が突如現れ、少し驚く。建物の壁面彫像が延長した形で噴水になり、その池がある、、という感じで、今まで見てきた「広場の中央に噴水がある」ではなく、「建物壁面にある彫刻が噴水になっている」という斬新さは、やはり訪れないとわからないものかもしれない。お天気での訪問なら良かったのだが、トレヴィの泉あたりでポツリポツリと天から降ってくるものが、、予定よりも滞在時間を短めにし、次の目的地、パンテオンに向かうことにした。


神殿跡
トレヴィの泉からパンテオンに向かう途中で、神殿跡の前を通る。145年に建てられた(145年前ではなく、A.D.145年)ハドリアヌス帝の神殿の支柱を現代の建物のひとつとして利用してしまうところはすごいと思う。


パンテオン
実はこのパンテオン、「別に行かなくてもいいか、、、」とスルーする予定だったのが、「行った方がいいでしょ、いや、一週間以上滞在するなら、絶対行くべきでしょ」という知人の薦めもあって訪れた場所。外から見ると、入り口はまだ当時の荘厳な様子が窺い知れるものの、側面・背面はレンガが剥き出しになっており「中は結構廃墟か?」と少し心配しながら訪れた。
ガイドブックに「現存するローマ建築の最も完全な遺構であり、世界最大の石造り建築だ。その広さ、大きさ、建築技術の高さ、そして1900年ものときの流れが感動を呼ぶ」と書かれている通り、中は完璧美しい姿をしていた。クーポラの頂上に直径9mの天窓が開いているが、今日は生憎の雨模様で、センターには侵入できないようにロープが張られていた。しかし、外から中に入ってくる雨水はどうなるのだ?と心配になったが、大理石の床の中央に穴が2箇所開いており、どうやらそこから雨水は排水されるらしい。そこまで考えて設計したのか。。。 しかし、巨大なクーポラは圧巻で、この丸いドームを支える技術は相当なものだなあ、と感嘆することしきり。


ナヴォーナ広場(ムーア人の噴水・四大河の噴水、ネプチューンの噴水)
雨が降っても気にもせず、次の目的地(そしてポポロ広場→スペイン広場に続く3つ目の広場)のナヴォーナ広場へ向かう。今回のローマ旅行の中では、一番観たいなと思っていたのが実は「四大河の噴水」で、この噴水が見られれば、今日の目的は果たしたようなもの。生憎の雨模様だったが、それでも多くの観光客がいて、広場は賑わっていた。
ナヴォーナ広場には3つの噴水(ムーア人の噴水・四大河の噴水、ネプチューンの噴水)があるのだが、四大河の噴水が出来はずば抜けており、四大河の噴水を始めに見てしまうと、ムーア人の噴水・ネプチューンの噴水にはどこか物足りなさを感じてしまうのは否めない。しかし、四大河の噴水にもオベリスクが建っている。ピンチョの丘、ポポロ広場、モンテチトーリオ宮(下院)前の広場、と今日で4つ目のオベリスク。ローマには一体何個のオベリスクがあるのだろう?


サンタゴスティーノ教会
人混みに疲れたので書店でしばし休み、気付くと16:00になっていた。教会の午後からの公開時間になったので、まずはカラヴァッジョの『巡礼の聖母』があるサンタゴスティーノ教会へと向かう。ラファエッロのフレスコ画預言者イザヤ』も飾られていた。サンタ・マリア・デル・ポポロ教会で遭遇したような、洗礼式をこれから行うのであろうか、正装した一行が続々と教会内部に入ってき、礼拝堂のひとつの前に集合していた。洗礼とは土曜日にしたりするもの?


サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会
サンタゴスティーノ教会を南に2ブロック進むと、カラヴァッジョファンには有名(?)なサン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会がある。この教会では祭壇を囲んでカラヴァッジョの『聖マタイと天使』(神聖)、『聖マタイの召し出し』(驚愕)、『聖マタイの殉教』(恐怖)の聖マタイ三部作を見ることができる。今まで見た教会では宗教画としてのモチーフが強すぎたが、『聖マタイの召し出し』や『聖マタイの殉教』などは、聖書の題材をモチーフにしながらも、ひとつの作品(群像劇)として、宗教的なある瞬間をドラマティックに切り取っており、カラヴァッジョらしさが存分に発揮された作品だと思う。
シンプルな中に力強さを感じたサンタゴスティーノ教会と比べ、白の大理石に金の装飾が美しいサンタ・ルイージ・デイ・フランチェージ教会は中がとにかく豪華で、流麗な印象を受けた。パンテオンでも感じたが、外から見るとあまり装飾が施されていなくても、中に入るとなかなかどうして、贅の限りを尽くしたものが多い。


ミネルヴァ広場
サンタ・ルイージ・デイ・フランチェージ教会から外に出ると、先ほどまでの雨は止んでおり、夕日の強い光で街が照らされていた。 今日の最後の訪問予定地、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会に向かう途中、パンテオン、そしてミネルヴァ広場前を通る。先ほど通ったときは皆パンテオンの中で雨宿り中だったのだが、明るい日差しを浴びながら多くの人が広場前で寛いでいる姿は、なかなかに美しいものがある。


サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会
サンタ・ルイージ・デイ・フランチェージ教会に入ると、ほの暗い教会内に強い夕日が色鮮やかなステンドグラスを通じて差し込んでくる様が美しい。ステンドグラス愛好家(?)のcaltecとしては、実は今までの教会がルネッサンス様式の教会であったため、ステンドグラスの装飾があまりない点に物、少し足りなさを感じていたのだが、まずはステンドグラスの美しい装飾を堪能することで、自分の中の満足度が上がった。
ガイドブックで「小美術館と呼べるほど、数々の美術品を収蔵し、ローマで唯一のゴシック様式の内部構造を持つサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会。」と紹介されるとおり、ロマーノの『受胎告知』、ベルジーノの『主イエス・キリスト』、フラ・アンジェリコの『聖母子』、ミケランジェロの『あがないの主イエス・キリスト』(彫像)など、多くの優れた作品があるが、フィリッピーノ・リッピのフレスコ画『聖トマス・アクィナスの勝利』が一番印象に残った。
とにかく今日は一日ローマを歩き回った感が強く、実はゆったりと落ち着いた気持ちでこの教会の中の作品と対峙する元気が残っておらず、ヴェネチア広場を中心とした観光をする日にこの教会をまた訪れようと思う。


コロンナ広場(マルクス・アウレリウスの記念柱)
サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会からコンドッティ通りの商品を預かってもらったお店まで戻る途中、コロンナ広場を通る。戦いのエピソードが螺旋状に彫られたマルクス・アウレリウスの記念柱がとにかく見事。青空に白い柱が映えて美しい。やはり青空の下見るのが一番だな、と(午後の雨交じりの天気で見た建物と比べて)感じた。


コンドッティ通りにあるお店でコーヒー(エスプレッソ。イタリアでカフェというと、コーヒーではなく、エスプレッソが出てくる!)を一杯いただいてからスペイン広場を一番上まで上がり、ベルベリー二広場→共和国広場→テルミニ駅と、地下鉄とほぼ同じルートを通り、ホテルまで徒歩で歩く。約20分ほどでスペイン広場からテルミニ駅までかかったので、約2kmくらいの距離かなあ。いやあ、とにかくよく歩いた一日だった。



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