グランプリシリーズ第4戦:NHK杯

caltec2009-11-07


フィギュアスケート:NHK杯 安藤が逆転初優勝、「ファイナル」決めた


グランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯は第2日の7日、長野・ビッグハットで4種目が行われた。


<女子シングル>


女子のフリーは、ショートプログラム(SP)2位の安藤美姫トヨタ自動車)が計162・55点をマークして逆転で初優勝。ロシア杯に続く2連勝(GP通算3勝目)でGPファイナル(12月、東京)進出を決めた。SP3位の中野友加里プリンスホテル)は4位にとどまり、石川翔子(明大)は10位だった。


◇表現力・スピン、強化が実を結ぶ


今季の安藤はいい流れに乗っている。2日連続の失敗演技で、得点も自己ベストを32点以上も下回る162・55点。それでも逆転優勝をもぎ取り、五輪イヤーはGP2連勝と最高の滑り出しだ。


冒頭の3−2回転連続ジャンプは、最初の3回転ルッツが両足着氷で単発に。持ち直したが、終盤の3連続ジャンプは二つ目が回転不足で転倒した。それでも、表現力などを示すプログラム構成点は5項目とも7点台を唯一並べ、後半の二つのスピンは最高のレベル4認定。「優勝したけど、うれしいと言えない」と苦笑したが、強化してきた部分は評価を得た。


NHK杯は過去3回出場で表彰台は1回(04年=2位)だけで、大会との相性の悪さに「不安があった」と明かす。近年、世界で活躍してきた日本選手の中で、NHK杯未勝利は安藤だけ。伊東秀仁・日本スケート連盟フィギュア部長は「出場が決まった時、安藤は嫌がっていた。でも、五輪イヤーの今季こそ、勝って勢いをつけてほしい」と話していたが、その期待に応えてジンクスを破った。


回避した3−3回転連続ジャンプなど課題はあるが、これでGPファイナルの表彰台にぐっと接近。「五輪が自分だけの夢で終わるのでなく、応援してくれる皆さんの思いもバンクーバーに持っていけるように、練習を積んでGPファイナルに臨みたい」。五輪代表内定を勝ち取ることを誓った。【来住哲司】


◇中野メダル届かず


SP3位の中野は4位に後退し、GPファイナル進出は絶望的になった。トリプルアクセル(3回転半)を回避したが、序盤の3回転ルッツが2回転、終盤の3回転サルコウが回転不足で転倒などジャンプミスを重ねた。「緊張があって体が思うように動かなかった。本番の怖さ」と振り返った。


<男子シングル>


男子フリーはSP首位のブライアン・ジュベール(フランス)が計232・70点で初優勝。SP4位の高橋大輔(関大大学院)は4位、SP5位の小塚崇彦トヨタ自動車)は7位と表彰台に届かず、村上大介(青森短大)も9位に終わった。


◇高橋4位


冒頭に試みた4回転ジャンプは、着氷が乱れた。さらにトリプルアクセル(3回転半)−2回転トーループ、続くトリプルアクセルでもバランスを崩してしまう。この日の高橋は、ジャンプ全般に精彩を欠いていた。


序盤に犯したトリプルアクセルのミスでリズムを崩したのか、中盤には、3−3回転連続ジャンプで尻もちを付き、直後の3回転ループでも転倒。気掛かりなのは、4回転以外のジャンプにミスが連続したことだ。


「体の中というより、靴とかハード面に問題あって……。体つきが変わり、以前と感覚が違うので大変だと思う」と明かしたのは長光歌子コーチ。高橋は昨年11月の右ひざ手術後、リハビリ期間に筋力トレーニングを重ねてきた。筋肉の付き方が変われば体の重心も変わる。今も「改造後」の体に合ったエッジの位置を探している段階だという。


「1年間のブランクを埋めるのは簡単ではない。練習あるのみと再確認できた」と話す高橋は、まだ「リハビリ」の過程にあるのだろう。とはいえ、五輪までに残された時間は、決して長いものではない。【栗林創造】


◇小塚、失敗重ね7位


昨季GPファイナル銀メダルの小塚はフリー10位と大きく崩れ、SP5位から7位に後退。GPファイナルへの2年連続出場は絶望的となった。冒頭の4回転トーループは回転不足で転倒し、続くトリプルアクセル(3回転半)は1回転半。その後もトリプルアクセルで転倒するなどジャンプで失敗を重ねた。演技後は「悔しい気持ちと、何でこうなっちゃったんだろうという気持ち」とぼうぜん。「調子が良くて、守りの気持ちがどこかにあった」


<ペア>


ペアのフリーは、SP2位の〓清、〓健組(中国)が逆転で2連覇を飾った。


アイスダンス


アイスダンスオリジナルダンス(OD)は規定首位のメリル・デービスチャーリー・ホワイト組(米国)がトップを守った。


◇「日本の心を表現」


アイスダンスのリード組は7位スタートとなった。今季、ODの課題は「民俗舞踊、カントリーダンス」となっており、日本人の母と米国人の父を持つリード姉弟はヒザ丈の浴衣姿で登場。「さくら」のメロディーに乗って伸びやかな演技を披露した。姉のキャシーは「そでが大きく(相手の姿が)見えなくなるところがあるので難しい。でも、日本の心を表現したかった」。


毎日新聞 2009年11月8日 東京朝刊)



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